勝者無き戦い
フレドは立ち上がると剣をクリートに突きつ出した。
「ごめんこれに関しては俺の意思だ、邪魔はしないでくれ」
「もしそれでも辞めないのなら俺はお前と戦うぐらいの覚悟がある」
「・・・わかった」
「・・・」
「戦うよ、俺の意思を貫き通したいんだ、どうしても」
「・・・・・・そうか」
クリートは本当は嘘のつもりで言ったがまさか本当にのるなんて思いもしなかった。
そして今ここで嘘と言ったらフレドの意思を軽く見ていると見られてしまう。
自分で自分の墓穴を掘ってしまったようだ。
クリートは退けなくなってしまい覚悟を決めブラスターフォームにガントレットの着いたフォーム。
ガントレットブラスターフォームに変身した。
銃剣を構えフレドをじっと見つめながら来るのを待った。
「・・・本当に戦うぞ」
「男に二言はないだろ、俺は俺を最期まで貫き通したい」
クリートは銃剣の剣部分でフレドの持つ剣を叩き落とそうとしたがフレドは前より更に技術が上がっている。
中々攻撃が当たらない。
フレドは回避後すぐに鋭い斬撃を加えた。
斬撃もそうだが戦い方もだいぶ変わっている。
隙を狙えるように進化していたのだ。
「まだ戦うのかクリート!?」
「お前ばっかに罪を着せて死なせるもんかよ!」
「これは俺の問題だ、クリートには関係ない!」
「お願いだ!お前にはこれ以上不憫な思いをさせたくないんだ!」
「なら早く戦いを辞めさせてくれ」
「もし罪を重く考えるのなら俺だって背寄ってやる!」
「それでも!」
フレドとクリートの激しい競り合いがずっと続いている。
倉庫内に入ると荷物などで行動範囲が狭くなるがクリートはこの空間で勝負をつける覚悟を決めた。
倉庫内に2人の剣の競り合いで起きる鋭利な音、そして火花の散る音。
色々な音が聞こえる。
しかしどれも心做しか悲しい音に聞こえる。
「クリート!もうやめろ!」
「俺は諦めない!友達を目の前で捨てれるわけないだろ!」
「・・・嬉しいよ、こんな俺を友達と思ってくれるなんて」
「あったりまえだろ!友達じゃなければこんなに必死に止めてない!」
2人の剣勝負は激しさが増すばかりだ。
倉庫内では物が落ちる音や物が壊れる音などどんどん激しさを物語る音が出てきている。
クリートはフレドの攻撃にどんどん退いてきている。
フレドの固い意思がフレドを強くさしているのだろうと思う。
クリートはドラム缶群に倒れてしまい派手にドラム缶をぶちまけてしまった。
その衝撃で倒れているうちにフレドがクリートの近くにつき胸を左足で踏みながら剣を突きつけてきた。
「もう諦めてくれ・・・これが俺の望む道なんだ」
「がはっ!・・・そんな道・・・本当に・・・良いのかよ」
「これはフレイヤの為だ・・・あいつの生活のため」
「そうやってフレイヤを盾に罪から逃げても・・・何も変わらないんだよ」
「何!?」
「少し安心だ、お前も自分の意思があることにな・・・だが逃げてばっかじゃ罪を償うなんてできない」
「・・・そうか、俺は逃げていたのか」
「だからもう・・・」
「でも、俺は・・・やらなくちゃ」
「そうやって他人を盾にして罪を償う覚悟なんぞ本当に罪を償うなんて嘘っぱちにしか聞こえない!もし償うのなら盾なんて持つな!しかも死んで償われるなんて・・・」
「・・・ありがとうよ、少し俺変われるかもしれない」
だがフレドはまた剣を振りかざしてきた。
クリートは大急ぎで避け切ることが出来たが本当に0コンマを争う事態だった。
「どうしてまだ戦う!」
「俺は自分の意思で地獄に行くことを決めた!もう迷いはしない!白黒はっきり付けれたんだ」
「ならせめて生きて償え!俺はお前の罪を少しでも背寄ってやる!友達なんだからな!」
「それじゃお前に悪いよ・・・」
「お前は自分で自分の気持ちを裏切った」
「何故だ?」
「お前はフレイヤと会いたいだけなのになぜ戦うんだ!」
「フレイヤは・・・がはっ!」
フレドはまだ攻撃を続ける。
きっとフレドなりに責任を重く感じているようだ。
それが歪んだ意味となり今2人を戦わせる原因となってしまっている。
クリートは銃剣の銃部分を使いフレドを撃った。
これにより少し状況が優勢に動いた。
フレドはさっきの衝撃で倒れてしまったがまた立ち上がろうとしている。
「やっと死ねる覚悟をもてたのにこれじゃあ変わってしまうじゃないか・・・」
「ならもっと変えてやるよ」
クリートはこれを起点にしどんどん攻め込んでいく。
戦いの場は倉庫内から倉庫外へとまた変わった。
フレドはクリートの攻撃の衝撃で倉庫外に飛ばされてしまう。
フレドは件を使い立とうとしているが目の前から1歩ずつフレドに歩み寄るクリートの姿がある。
クリートは歩きながら倉庫外に着いた。
その風格は勝者の風格を醸し出している。
これで負けを認めて戦闘をやめて欲しい。
それがクリートの願いだ。
辺りは夕焼けに染まってきている。
フレドは立ち上がると剣を投げ捨てて生身で戦いに来た。
クリートも銃剣を捨てフレドに向かい走った。
2人は出会い頭に頬を思いっきり殴り飛ばす。
その衝撃で2人は倒れるがすぐに立ち上がりまた殴り合った。
近くでは人が殴られる鈍い音が響いている。
2人は限界なのか変身も解除された。
だが殴り合いは辞めない。
どれだけ血を吹き出そうとも殴り合っている。
床が2人の血に染まりつつある。
クリートは苦しい顔で戦っている。
見ても心が苦しくなるだけだ。
フレドに関しては泣きながら戦っている。
「う、うわぁぁ!」
「ぐっ!うぉぉぉ!」
2人の固い意思が2人を戦いに駆り出している。
クリートの願いが皮肉にも戦いを産んでしまった。
2人は最後のパンチを繰り出そうとしている。
思いっきり体をひねり殴った。
2人はシンクロしているのか分からないが殴るタイミングが一緒だった。
そしてついに2人はパンチの衝撃で倒れてしまう。
勝者などいなくあるのは悲しい現実のみだった。
願いが皮肉な現実を産む。
クリートはノルンに謝りたい気持ちでいっぱいだがまずはフレドを止めれて良かったと思うべきだと思った。
ひとまず大惨事は抑えれたことは成功だ。
遠くから聞き覚えのある声が沢山聞える。
あのうるさい日々の元凶の人達が来る。
少しその声に安心出来てしまったのはもうこの生活に完全に馴染んでしまったなのだろうか。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




