嘘と大事なものの天秤
フェークを掴んだ謎の変身者だが戦闘の意思は本当にないようだ。
「こいつ!くぅ! 」
「がはっ!」
フェークは拘束が一瞬緩んだ時に右肘で謎の人の腹を殴り拘束を解除させた。
謎の人は攻撃を受けた腹を抱え倒れたかけている。
多分戦闘が初めてなのが察せる。
それと同時に拘束時に落とした片手剣を広い向かってきたフレドを迎え撃つ。
フレドは思いっきり斬り掛かろうとしたが間一髪で避けられその後腹の装甲を一斬り加えた。
「ぐ!こ、こいつ・・・太刀筋がかなり変わった?」
「お前の戦い方なんぞだいぶわかってきた」
攻撃の衝撃で片手剣を落としてしまったがまた握り直し戦おうとしたがフェークは容赦なくまた加えてきた。
それでも立ち上がるがその都度攻撃を加えられている。
「もう降参しろ・・・お前だって生きたいはずだ」
「そうか・・・でもな俺だって後悔する選択肢を取りたくないんだよ……それが命がかかるものだとしても」
「時には嫌な選択も取らなくちゃいけないんだよ」
フレドは立とうとするが力が上手く入らず立ち上がれない。
「がはっ、こ、このままだと」
「以外に早いんだな……終わりだ」
バン!
その時地下駐車場内に銃声が聞こえた。
フェークは銃声の方を向くと謎の人がアパッチリボルバーをフェークに向けていたが距離のせいか被弾はしなかった。
アパッチリボルバーはかなり当てにくいリボルバーな為至近距離じゃないと当てれない。
特別エイム力があれば何とかなりそうだがこの変身者にはエイム力などある訳もなく威嚇だけとなる。
フェークは片手剣を握り直し謎の人にへと走り出した。
「死んだかと思ったぜ!終わりだ」
謎の人はリボルバー畳み刃だけ出しナイフモードにした。
その咄嗟の判断で何とか切り払うことは出来たものの2発目の斬撃は受けてしまう。
「がはっ!」
透き通りそうな声が聞こえる。
その声の主はどこか儚げでフェークが失いたくないものな気がする。
少し剣を握る手が緩くなったがすぐに切り替え握り直す。
「さぁここで終わりか」
謎の人はさっきの攻撃で倒れてしまいアパッチリボルバーを取ろうとするが力が入らないみたいだ。
「終わりだ」
そう呟くが後ろからの視線を感じ剣を振るう手を止め振り向いた。
「なんだ斬ったあとでもいいのに」
後ろを見るとシギュンが居る。
よく見ると中学生ぐらいの女の子を連れている。
「お、お前!シス!シスなのか!シス!」
フェークは変身を解除しシスの元に向かった。
シギュンもシスを手放しフェークの元へ向かわせた。
2人は抱きつきフェークは泣いてしまう。
今まで戦う理由となっていたシスを救えそして1つ「嘘」をついたことがバレずにやりきれたことにも感動する。
「お、お兄!私何かあったの!」
「今は知らなくていい……ひとまずあいつを潰すぞ!」
フェークが指を刺したのはシギュンだ。
その様子にシギュンは激しく驚いているように見せかけて驚いていない。
「あんたまさか裏切るのか」
「お前は1つ大きな間違いをした……その1つは」
フェークはシギュンに話すも間もなく話続ける。
「俺を信じたことだ……そして俺がソルーを殺したとでも思うのか?」
その一言でシギュンとフレドは驚いた。
「あとお前が裏切らないために俺に盗聴器つけたのも知っている!」
フェークは自身のズボンのポケットから小さな盗聴器を取り出し目の前で握りつぶしゴミとなった盗聴器を下に落とした。
その時フレドにあった全ての疑問が紐解かれた気分だ。
友達関係の否定・恋人の否定・夢の否定
それらが分かるとフレドは自然と罪悪感が湧いて出てくる。
「なぜ俺が裏切ったと思う?」
「も、もういい!このクソッタレがー!」
「俺は怪盗なんだ……タダで信じられても困るな」
シギュンは変身しトンファーの先端をフェークに打ち出した。
「や、やめろー!」
フレドは立ち上がろうとするがさっきまでの攻撃で上手く立ち上がれない。
しかしフェークは怯えるシスをがっちりと掴み
「変身!」
フェークはさっきの姿に変身しマントをシスに被せるとトンファーの先端は大爆発を起こした。
「フェーク!」
フレドはそう叫ぶが結果は……
結果を知る前に爆風で飛ばされその時の衝撃でフレドの気ははるか遠くへと向かった。
爆風がどんどん無くなりフェークの姿が見えてくる。
姿は全くの無傷であり近くのシスも無傷だ。
「何!?」
「さぁ……ここまでの覚悟を決めたんだ……お前にも決めさせてもらうよ」
「うっ!?そ、そんな」
フェークは大剣を分解し片手剣にすると走り出した。
シギュンも覚悟を決めたのか走り出した。
カン!
カン!
剣と剣がぶつかり合うとは別の音が地下駐車場を響かせる。
シギュンの格闘センスとトンファーの扱いがとても慣れているのか少し戦闘経験のあるフェークを圧倒させてきている。
「こいつ!強い!」
「ふん!」
蹴りやパンチなどを上手く入れ込んでいるためフェークは中々攻めに出れない。
フェークは1つの隙を見つけた。
その一瞬で決める。
「終わりだー!」
「甘いわね」
しかしそれも全てシギュンの罠だったようだ。
首元に隙を見つけ剣を振りかざすのを誘っていたらしい。
真っ直ぐシギュンを仮面越しで見つめている状態なので下のことが分からない。
「全てこれを行うための罠だったの気づかなかったのね」
呆れとやりきった声で言ってくる。
シギュンは体勢を一気に崩しフェークから見て死角になるところに入りトンファーパンチを加えまくった。
「くわぁ!」
ぶっ飛ぶ前に左の顔がある仮面にトンファーの先端を食い込ますように殴り飛ばした。
地下駐車場の支えとなっている柱にぶつかり柱を半分ぐらい削りそのまま地面に叩きつけられた。
立ち上がるが左側の目の視界がおかしい。
仮面で見る景色ではなく肉眼で見る景色だ。
左側の仮面を触るかがあるところから仮面がなくなっている。
肌の感覚がするし触った手を見ると血でいっぱいだ。
「し、しまっ……」
「少し考えていたところと違うところがダメージ受けたみたいね」
フェークは立ち上がろうとするが立ち上がれない。
考えてみると柱にぶつかったところが猛烈に痛い。
「うぐっ!」
「ははは!もうおしまいね……私が着くまでに考えておきなさい」
「くぅ!」
「遺言をな!」
かた
かた
かた
床を軽く踏み1歩1歩近づいているのがわかる音が聞こえる。
フェークは作を練るがこの状態だと何をしても全て裏目に出て失敗になるぐらいわかってきていた。
(ダメなのか)
だがある人が行動を起こしたおかげで全てが変わった。
謎の変身者が静かにフェークに向かってきている。
アパッチリボルバーを構えながら向かっている。
「こいつ何者なの!?」
シギュンはフェークが変な方向に興味を示している様子なので後ろを振り向くと謎の人がいるので驚いている様子だ。
「まずは先にお前からよ!」
シギュンは走り出し謎の変身者にトンファーパンチを加えようとしたが謎の変身者は一回転して回避した。
それと同時にアパッチリボルバーを放ったが当たらない。
シギュンは外れたのを確認するとまた走り出しトンファーで攻撃を加えようとした。
さすがに謎の人もリボルバーを当てることを諦め折り畳みメリケンサック状態にしてシギュンの腰を殴った。
殴った時少しよく説明しにくい違和感があった。
何か1枚層を破っての攻撃な感じだ。
それのせいかシギュンは衝撃で飛んでしまった。
これも全てクリートの設計通りだと言うのを後で教えてもらった。
シギュンの方を見ると何かがないのに気づいた。
トンファーの先端だ。
「ど、どこ!先端は!」
その声を聞いた時誰かが思い出しそうになった、フェークが失いたくない「あの人」だった。
「終わりだー!はっははは!」
シギュンの高笑いが地下駐車場を包む。
謎の変身者はもうすぐにトンファーの先端がぶつかるのに気づくと腕で爆風を防ごうとしたが大きな爆風が辺りを包んだ。
爆風の中からクリートの創った新たなる力のバックルがシスの近くに飛んできた。
シスはさっきから恐怖で腰が抜けて立てていない。
爆風が無くなりかけるとそこに居たのはボロボロ泣いて血が流しながら倒れているソルーだ。
「そ、ソルー!?」
「あのバカ!生きていたの!まさかフェークの言った通りに殺してなかったの」
フェークは驚きしかない。
シギュンも本当に殺していないということに驚きだったようだ。
その時痛みなど感じなくなりソルーの元へ走り出した。
ソルーは泣きながらもフェークが近づくと笑みがこぼれた。
「そ、ソルー!」
「よ、良かった……やっぱりフェーク君はフェーク君だ」
震えながらも優しい声がフェークを包む。
ソルーの受けた傷や体験は今まで平穏に過ごしてきたソルーには耐えれるものでは無いし精神的にも耐えれるものでは無い。
苦痛や痛み、否定全てを受けてしまった彼女の心。
ここまで過酷な体験をさせてしまいフェークは泣くしかできないのが悔しい。
罪悪感から涙が止めることを知らない。
ソルーを優しく地面に置き片手剣を持ち立ち上がった。
「これで決着をつけてやる!」
片手剣を固く握り構える。
「こっちも本気で行くよ」
シギュンも本気な感じがとても感じられる。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




