争い
掲載日:2023/04/22
時は戦国時代。今まさに東軍の大将の首がとられようとしていた。
「ぐっ…、は…。」
急に誰かの苦しむ声が聞こえた。
それは大将の首をとろうとしていた槍使いが、すでに虫の息であった東軍の雑兵に後ろから刺され、苦しむ声だった。そこからは東軍が盛り返し流れに乗って、残すは西軍の大将のみとなった。東軍の雑兵が敵の大将めがけ思いっきり刀を振るった。だがその雑兵は遥か遠方からの剛腕な射手の一撃によって倒れた。しかし安堵したのも束の間、どこに隠れていたのか急に東軍の騎馬兵が出てきた。雑兵に夢中になっていた西軍は対応しきれず大将は騎馬兵にやられた。
時は変わって、令和時代。
東京のマンションの一室で兄弟が言い争いをしていた。
「なんでそこで『王』とるの!?」
「だーかーら!『歩』を裏返すの忘れてたって言ってるだろ!?お前もさっきやってたじゃん!」
「俺はホントに忘れてたの!兄ちゃんは絶対わざとでしょ!」
「ちがうって!ホントに物分かり悪いな!」
さっきの西軍の大将というのは弟の『王将』のこと。そして槍使いは『香車』、雑兵は『歩』、騎馬兵は『桂馬』。
これはある兄弟の将棋の様子だったのだ。




