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幼馴染とデパートにて

トイレに行きたい。


目的地のデパートに到着し、子供のようにはしゃぐ真輝に手を引かれる姿を上品そうなマダムに微笑ましくみられたりなどしつつ、数十分。


俺はピンチを迎えていた。


急に便意を覚えたのだ。


そういや今日出際、予定の時間より早く真輝がむかえにきたからトイレいってなかったな。


いや別にデパート内だしそこらにトイレあるんだから行けばいいんだが……はしゃぐ幼なじみの姿をみると言い出しにくくてな。


「あれ、ゆーくんちょっと顔色悪いよ。おトイレ?」

「何故わかった」

「いや、お腹の辺りおさえてたしわかるよ。相変わらずゆーくん冷房あたるとトイレ行きたくなっちゃうんだ」


あー、うん。


なんか冷房で冷やすとトイレ行きたくなるんだよな、昔から。というかそういう事もちゃんと覚えてるんだなと気づき、嬉しさ半分恥ずかしさ半分という気持ちになる。


でもまぁ……気づかれたなら、もう我慢する必要はないな。


「悪い。というわけでトイレ行ってくるわ」

「うん。でもそんな顔色に出るまで我慢しなくてもよかったのに」


本当にな。やっぱり今の真輝が"女の子"である事を意識しちゃってたのだろうか。いや相手が男だろうが女だろうがトイレ行きたいなら素直にいうべきなんだろうけども。


とにかくいかせてもらおう。幸いな事に丁度通路の先にトイレが見えたし。


「真輝はそこにベンチで待っててもらっていいか? どっかのテナントみててもいいけど」

「あ、うん待ってるよ。でもその前に僕も済ませておこうかな」

「そうか?」


こくんと頷いたので二人で連れ立ってトイレに向かう。


俺は男子トイレへ、真輝もぴょこぴょこ後ろについて──


「っておい」

「え?」

「なんでついて来てんの? お前」

「なんでって……あっ」


どうやら素で気づいてなかったらしい。自分がしようとしていた事に気づいた真輝の白い頬が朱色に染まる。


「あははっ、ついゆーくんについて来ちゃった! えっと、僕はあっちだよね、あははっ」


そのまま身を翻し、男子トイレに半分突入しようとしていた真輝はスカートをはためかせ隣の女子トイレへと駆けこんでいった。


◆◇


「……あれ」


用をすましトイレから出てくると、真輝の側に他の人影があった。


真輝がいるのは、先程示したエスカレーター側のベンチだった。そこに荷物を置いて立っている真輝の前に二人の男が立ってなにやら話かけている。


……ナンパだよな、これ。


こちらに戻って来て間もない真輝はまだ友人はほぼいないはずだし、何より遠目に見える横顔は先程まで俺に見せていた笑顔が嘘のように冷めたものになっている。


とりあえずとっとといってやらないといかんか。さすがにアイツもまだああいった輩のあしらい方は慣れてないだろうし。いや、俺も慣れてないけどな。女の子と二人で遊びにいった経験自体ほぼないし。


今の真輝は美少女以外の何物ではない上にあのスタイルだ。銀髪碧眼で近寄りがたい雰囲気はあるもののナンパ男は寄ってくる可能性自体は考えていたので、なるべく離れないようにはしようとは思っていた。


だがデパートの中でナンパしてくるとは思わなかったな。


まぁとはいえこんだけ人目のあるところだし、妙な事はしないだろう。そう思いつつも足早に真輝の方へ向かうと、男の内の一人が真輝の肩へと手を伸ばした。


野郎!


明らかに乗り気じゃない女の子の体に触れようとするたぁ、どういう了見だ!


そう思って声を上げようとした時だった。


男の手首を真輝が掴んだ。


ただそれだけで、男の動きが止まった。


それだけじゃない。みるみる男の表情が苦悶に染まっていく。


その様子を見たもうひとりの男が手を伸ばす。が、その手も捕まれ、そちらは捻り上げられた。


悲鳴が上がる──男の方の。ってぼうっと見てる場合じゃないっ!



超不定期と宣言したにしても間空きすぎました、ごめんなさい。

私のなろうにおける最大の目標は「エタらない」ですので、今後も引き続き牛歩になるとは思いますが更新はしていきます。


気が長い方はお付き合いよろしくお願いいたします。

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