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幼馴染は眠れない

●真輝視点


「あら、真輝帰って来たの? お風呂沸いてるわよ」

「後で入る!」


 自宅に飛び込み、ドタバタと音を立てて廊下を走るボクに気づいたママが掛けてきた言葉にそう返して、ボクは一気に階段を駆け上ると自分の部屋へ飛び込んだ。


 そしてそのま自分のベッドにうつ伏せにダイブし、枕に顔をうずめる。顔を隠すように。


 だって、今の顔はママには見せられない。きっと真っ赤だから何があったのか心配されてしまう。


 いや、普通に大丈夫だと思ってたんだ。さっきゆーくんに言った言葉は本心だ。男の子の体なんて小さいころにさんざん見ているから平気だと思ってたのに。


 だけど、いざ見たらダメだった。


 ゆーくんの体は、記憶にあるものと全然変わっていた。元々彼は体を鍛えてはいたけど、今のそれは全然違う筋肉質な体だった。あれからもずっと鍛えていたんだな、と思った。


 でも別に、鍛えた体ならあんなに近くでではないけどちらりと向こうの世界で仲間のモノは見かけたことはある。でも別に何も感じなかった。へー、がっしりしてるなーとか思うくらい。


 なのに。


 ゆーくんのその逞しい体を見た瞬間すごくドキドキして……ボクは思わず逃げ出してしまった。ああ、これでさすがに今日はもう一回彼の元に行く勇気はない。一緒の部屋でお休みしたかったな……でもそしたらきっと今夜は眠れない。


 でも本当になんであんなドキドキしたんだろ? そう思ったけど、答えはすぐに出た。


 ゆーくんの体だからだ。


 好きな人の体を間近で見たからあんなドキドキしたんだ。


 でも昔、ボクが男の体だったときはさすがにそういうドキドキはなかったはず……


 ──ということは。もしかして僕の心がより女の子に近づいたってこと!?


 やだ、嬉しい!


 僕の体は今は完全に女の子だ。抱き着いたときゆーくんもどきまぎさせることも出来たし。一回目は意識してなかったけど、二回目に腕に抱き着いたのはちょっと意図してやったボクはちょっと悪い子だと思う。


 でも心の方はまだ完全に女の子にはなっていないと思う。だから、そんな女の子のような反応が自然と出てきたのはすごく嬉しい。


 あっちの世界では、僕はあまり女の子であることを意識して動いてなかった。

 いや、体は女の子になってたからいろいろな物が見られないようには気を使っていたけど。だってゆーくん以外の男には見せたくなかったし。というか見られたら女神さまに頼んで記憶消してもらうし。


 意識していなかったのは、女の子らしい仕草とかその辺り。ゆーくんいない世界でそんな事しても意味ないからね。


 ──なんて思ってたけど、もうちょっと友達とか仲間の女の子から勉強しておくべきだったかなとちょっと思う。


 今日は僕がゆーくんにしたいことをしてただけだったけど、もっと女の子っぽさを身に着けたい。ゆーくんに女の子として見てもらいたい。男の子としてのボクはゆーくんと再会した時点でもう完全に死にました。


 体という一番難しい部分はもうクリア出来てるんだ。きっともっと女の子みたいに慣れるハズ。頑張らないと。


 こっそりというか勢いあまっていきなりプロポーズみたいなことしちゃったけど、さすがにまだ無理だったし。だよね、ゆーくんの中ではボクはまだ男のイメージのままだろうし、そんなボクから結婚と言われても戸惑うだけだよね。


 ああ、心も早く完全な女の子になりたい。男だったボクとゆーくんの過去の思い出も大切だけど、今の僕の心に男はいらない。早く立派な女の子になって、ゆーくんのこ、恋人になりたい! 幸いまだ彼女とかいないみたいだし!


 そして、恋人になって……えへへ。ダメだ、また顔が赤くなってきた気がする。


 今夜はなかなか眠れないかもしれない。

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