幼馴染とお風呂
「いいか、真輝」
「うん、何?」
「年頃の女の子が、幼馴染とはいえ男のベッドで一緒に寝ようとしちゃダメ」
「あ、でも僕元男の子だからセーフじゃない?」
「アウトだよ!」
大体さっきお前男だったことは忘れたとかいってたじゃねーか。後、真輝が男として戻って来てたとしてもアウトだ。女の子のとは別の意味で高校生の男二人が一緒のベッドって駄目だろう。
「ボク寝相悪くないよ?」
「寝相の話はしてない」
「今日だけ、ダメ? ほら昔を懐かしんで一緒のお布団で寝るのとか別におかしくないよね?」
「今日だけでもダメだ」
「むー」
「むくれてもダメ!」
くっそ、昔からよくする表情なんだけど、この表情可愛いだよな畜生。なんかいろいろ甘やかしたくなるというか。でもダメだ。さすがにこのボディであの狭いベッドで一緒に寝たりなんかしたら、いくら元男の幼馴染だと分かっていても耐えきれる自信がない。
「わかったよ。別の布団で我慢する」
「わかってくれて嬉しいよ。それじゃ俺は風呂入ってくるから、お前も済ませてきな」
そう言って部屋を出ると、ひょこひょこと真輝がついてきた。一度家に戻るんだな。なので一緒に連れ立って階段を降りて風呂場の脱衣所に向かう。
「っておい」
「何?」
「なんでついてきてんの、お前?」
「お風呂入るんでしょ?」
何当たり前の事聞いてきたの? という顔で見上げてくる真輝。
「一緒にお風呂はい……あだだだだだだだだ!」
うん、ライン超えです。一緒に風呂なんか入ったら間違いなく俺の理性は限界突破します。
これはわからせないといけないと俺は判断すると、真輝の頭を掴んでこめかみをぐりぐりとしてやる。
「やめやめ許して冗談だから! あ、でもちょっとこの感触も懐かしくてちょっと悪くな──あ嘘嘘威力上げないで!」
腕をペチペチとタップしてきたので止めてやると、真輝は慌てて両手でこめかみをガードしつつ後ずさった。
「うう、ひどいよ、ゆーくん。冗談なのに……さすがに僕だってまだ恋人じゃないのに一緒にお風呂入ろうとは思わないよ?」
「じゃあなんでついてきたんだよ」
「いや背中を流してあげようかと思って」
「いらん。とっととお前も帰って風呂入れ」
「あ、ゆーくん照れて……女の子に対してすぐ暴力に訴えるのはよくないと思うよ!?」
無言で握りこぶしを上げたらビクッと体を震わせる真輝。
「大体、これくらいいいでしょ。僕だって男の体は見慣れてるし」
「……え?」
真輝の言葉に俺が一瞬動きを止めると、その理由に気づいた真輝が慌てた様子で両手をわたわたと振る。
「いや、違うよ!? 自分とゆーくんの体でだよ!?」
「ああそういうことか」
言い方が紛らわしくてまさか俺の知らない内に幼馴染がいろいろ経験を? なとと思ってみたが、言われてみればなるほど、元が男だからそもそも自分の体で見慣れてるよな。俺も一緒にプールや海に行ってるし。
「ね、ね、だから気にしなくて大丈夫だって、ほら脱いで脱いで」
「あ、こら」
真輝が俺のTシャツの裾に手を伸ばしめくり上げようとしてくる。俺はその腕を掴んで止め──いやなんだ、この力の強さ! 俺もそれなりに鍛えているから力はあるはずなのに止まらねぇ!? 抵抗むなしく俺のシャツはどんどん捲られていき、首のあたりまで持ち上げられたところで止まった。
なんでこんな途中で??
疑問に思いつつもとりあえずチャンスと思って腕を下げ──いや、びくともしねぇ!
なんなんだ一体、と思いつつ視線を落とすと、真輝が俺の胸元を見てその白い肌を真っ赤にそめていた。
え?
「おい、真輝?」
声を掛けると、真輝くは俺の顔と胸もとの間でなんどか視線を泳がせ、そして
「や、やっぱり僕今日は家に帰るね!」
そのまま身を翻すと、脱衣所から飛び出していった。
え?




