幼馴染は一緒に寝たい
それから俺達は部屋に戻り、いろいろ話をした。先程端折られた向こうでの話を聞いたり、俺のここ5年間を話したりだ。
その話を聞いて、二つほど良かったと思った事がある。
一つは、向こう側の世界にいっていたのは真輝だけじゃなかったこと。全員で20名程が同タイミングで転移したらしい。
「全部で2000人ほど勧誘したらしいよ」
……ようするに100人に1人が願いをかなえるなんて甘い言葉に乗って向こう側に行ったのか……夢だと思って着楽に答える可能性も考えると思ったより少ないのかな……というか2000名に勧誘って女神様も大変なんだな。ちなみに断った連中は女神様とあった記憶は消去されたそうだ。メガミサマノチカラコワイ。
まぁそれはさておき、そんな感じで最初から仲間がいたのでそれほど寂しい思いをしなくて済んだらしい。これは良かった。俺の知らない5年間で真輝がずっと泣いて過ごしていたとか考えたくないからな。
そしてもう一つ。
「向こうの世界ってね、戦うときはエーテルで体を構築するんだ。それで本来の体はなんか黒いオーブの中に格納されるの。それでねそれでね」
とまぁわりとなかなか理解というか想像しづらいことを説明されたんだが結論からいえば、真輝は向こうの世界で戦ってはいたが殺し合いはしていないらしい。
これは非常にいい情報だった。もしコイツが向こうで殺し合いをしてたなら、心の深い所で消えない傷を負っていただろう。優しい奴だから……正直どうやってメンタルケアをすればと考えていたんだが、ほっとした。
それ以外にも俺からも話をして──真輝のようなまさに波乱万丈な人生は送っておらずむしろ無味乾燥な内容だったんだが……真輝は楽しそうに聞いていた。まぁ満足しているならいいいか。ただ学年が一個進むごとに
「仲の良い女の子は居たの?」
って聞いてくるのは辟易したが。いねぇよ、そんなもん。
まぁそんな感じで、気が付けば外は暗くなっていたんだが……まだ真輝は俺の部屋にいた。
さすがに足が痺れるから膝の上から降りてもらったけど(不満そうな顔はされたが)。
コイツ一度食事で家に帰ったのに、飯食い終わったらまた来たんだよな。
「真輝さぁ」
「なぁに?」
「お前もうちょっと両親と一緒にいなくていいのか。おじさんとおばさん悲しんでいるんじゃないのか」
数年ぶりに帰って来た息子(娘)が翌日から隣の家に入り浸って返ってこないのってどうなんだよ。
だがその言葉に、真輝はにっこり笑って首を振る。
「大丈夫、今日はずっとゆーくんと一緒にいるっていったら二人とも納得してくれたし! それに明日はパパとママと一緒にお出かけするから」
「ん? おじさん仕事休むのか?」
今日は日曜日、明日は平日だ。学生は学校、会社員は仕事がある。職種によっては休みはずれるけど、真輝の親父さんは普通のサラリーマンで月~金勤務だ。
「たまっている有給まとめて取ったみたい。今週は殆ど家にいるって言ってた」
あー、そりゃそうするか。
「だからゆーくんが学校に行っている間はパパママと一緒なの。だから心配ご無用だよ」
「成程、まぁそういう事なら。……でも何にしろそろそろ帰れ」
「え、なんで?」
「時計見ろ時計」
そう言って俺はベッドの枕元に置いてある目覚まし時計を指さす。
デジタル時計が示すその数字は、すでにPM10時を回っていた。
「うわ、もうこんな時間なんだ。ゆーくんと話してると時間立つの早いねぇ」
「そう、だから今日はもう」
「うん、一回家に戻って寝間着取ってくるね!」
……は?
「なんで?」
「なんでって、この格好のままだと寝るにはちょっと寝苦しいし。下着で寝るのはさすがにちょっと恥ずかしいから……そもそも自分のないからママの下着だし」
余分な情報が付け足された気がするがそれは聞かなかったことにして。
「お前、今日ウチで寝る気か?」
「うん。久しぶりに一緒に寝たい」
「……いや、俺明日学校だし。風呂入ったらもう寝るから、お喋りには付き合えないぞ」
「いいよ、一緒に居たいだけだから」
満面の笑みを浮かべながらそう言って来る真輝の言葉に、俺はため息を吐く。
確かに以前はよく真輝は俺の部屋に泊まっていた。その頃とはいろいろ変わってしまっているが……5年ぶりに帰って来た幼馴染の頼みは聞いてやりたい気持ちは強い。
まぁ俺は性欲モンスターではないはずなので、同じ部屋で寝るだけなら俺が妙な妄想しなければ大丈夫……寝れるかなという不安があるが。最悪明日の午前中は教師を泣かせるか。
「しゃーねぇ、1階に来客用の布団あるから持ってくるわ」
「え、いいよ? 同じベッドで寝ようよ」
「いや何言ってんの!?」
「だって昔は一緒に寝てたよね?」
小学生低学年の時まではな!




