月と椿
かつて、この世界には「魔王」が君臨していた。
「魔王」の脅威に晒された人類を救うべく、下された神託に従い、「勇者」「戦士」「聖者」「魔法使い」が世界を救う旅に出た。
彼らの「雑用係」として共に旅し、しかし公に存在を明かされることのなかった少女「アニス」。「勇者」が「魔王」を討ち果たした五十年後、とある辺境の寂れた村に生まれた少女アニスは、その記憶を夢として繰り返し見ていた。しかし、自分の見ている夢が、いわゆる前世の記憶なのか、それともただの妄想か、判別がつかない。
そんなある日、アニスは「アニス」と同じくなかったことにされた旅の仲間、「暗殺者」の少年「ツバキ」と再会する。
「此処に居る限り、お前の命を保障する」
「誰にも害されない。俺がさせない。俺だって、お前が此処に居る限り何もしない」
「一歩でも出たら、その時は、何をされても仕方ないと思え」
――――あの頃のままの姿をしたツバキは、あの頃とは違う昏い目でアニスに告げた。
「魔王」の脅威に晒された人類を救うべく、下された神託に従い、「勇者」「戦士」「聖者」「魔法使い」が世界を救う旅に出た。
彼らの「雑用係」として共に旅し、しかし公に存在を明かされることのなかった少女「アニス」。「勇者」が「魔王」を討ち果たした五十年後、とある辺境の寂れた村に生まれた少女アニスは、その記憶を夢として繰り返し見ていた。しかし、自分の見ている夢が、いわゆる前世の記憶なのか、それともただの妄想か、判別がつかない。
そんなある日、アニスは「アニス」と同じくなかったことにされた旅の仲間、「暗殺者」の少年「ツバキ」と再会する。
「此処に居る限り、お前の命を保障する」
「誰にも害されない。俺がさせない。俺だって、お前が此処に居る限り何もしない」
「一歩でも出たら、その時は、何をされても仕方ないと思え」
――――あの頃のままの姿をしたツバキは、あの頃とは違う昏い目でアニスに告げた。