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電験三種と過ごした日々  作者: 37,5or9
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11、仕事を探すことにした

2022.01


 気が付けば1月も半ばを過ぎていた。


 楽しみにしていた続き物の映画は去年であらかた完結してしまったし、好きな歌手のライブ(と言ってもネット配信で観るだけ)は当分先だ。人と会う約束も今はない。


 会社からはまた外食禁止のお達しが出た。映画を観に行くのも駄目らしい。


□□


 朝、起きる。

 適当に食べたり食べなかったり、でも尿酸値を下げる薬を飲むのは忘れない。


 去年より雪は少ないがそれなりに降っていて除雪が面倒だ。車は結構古くて冬場は車のドアが開かないことがある。そのため、ぬるま湯を入れたペットボトルを何本か持って駐車場に向かう。(ドアのパッキンが凍るため。大分前の冬、残業した後帰ろうとしたら運転席側も助手席側も凍って開かなかったことがある。ペットボトルも持っていなかったので、バックドアから無理やり入ったことがある。よく考えれば自販機で買えばよかった。買わなくてもゴミ箱の拾って使えばよかったかもしれない)冬場は通勤だけで結構疲れてしまう。


 会社について慣れた作業を行う。休憩室は会話が禁止(皆が守るわけもないけれど)になってしまってからは行かなくなった。作業場で座って文庫本を読んだり、ボーっとしたり、自販機の前で缶コーヒーを一気飲みしたり。


 仕事と休憩、それを定時まで繰り返す。半導体不足の影響で残業はほとんどなくなっていた。


 楽しいかと聞かれると楽しくはないけれど、辛くもない。これは大切なところだ。月~金まで繰り返す。


 土日、何かしなければならないとモヤモヤしている。これだっていいことだ。正社員で働いていた頃は、休みの日でもふとした時に仕事のことが心配になっていた。

 そして日曜日の終わり、何もしなかったと勝手に後悔する。


 これでは駄目なのか。罪悪感のようなものがあるのは何故なのか。向上心がないからだろうか。でも今が幸せなら、無理に動かなくてもいいんじゃないのか。


 でもこれはずっとは続かないことだ。自分はどんどん年を取っていく。


 30を過ぎて、コロナウイルスのせいもあるかもしれないが、腹だけに肉がついて来たり(運動不足)、手の甲がカサカサになって来たり(アルコール消毒のし過ぎ?)、顔にもシミがこんなにあったかな、とか思ったりする。ネジを締める時。ドライバーを使っていて掌の皮がむけることがしょっちゅうあるが、剥けた部分の治りが遅くなっている気がする。(そもそも皮が剥けるような使い方をするな)


□□


 同期も同級生も先に進んでいく。


 ぬるま湯につかるのはいけないことだろうか。だが今の仕事場だって、最初からぬるかったわけではない。自分が耐えたからだ。熱いのを我慢して温くしたのだ。でも派遣先の気分次第でこのぬるま湯からいきなり全裸で放り出される可能性だってある。


 色々考えて不安になって、久しぶりに睡眠薬(と近い成分を持った薬。ようするに花粉症の薬みたいなもの)を飲んでみた。すぐに眠れた。最近ずっと飲んでいなかったから耐性が薄くなっていたのだろうか。


 悪夢で目が覚めた。薬を飲んだ次の朝はだるい。


□□


 あーだこーだ言っていたが、ハローワークの求人をネットで調べてみることにした。年齢と県を選び、フリーワードに第三種電気主任技術者と打ち込んで検索。10件ほどヒットした。これが現実だ。目を通す。


 自分の市では第二、第四土曜日はハローワークが開いている。行ってみることにした。

 


※ 直接行って調べても、ネットで調べるのと出てくる結果は変わりません。むしろ特に紹介してもらいたい求人もなく出向くのは、感染症対策としてはよくないかもしれません。



 土曜の朝、内科へ行って薬をもらって(尿酸値を下げる薬、もう1年半飲み続けている)、その帰りにハローワークに寄ろうと考えていた。……のだが、思ったより疲れたので一旦アパートに戻ることにした。17時まで空いているからそれまでに行けばいい。


 なかなか行く気にならなかった。15時になって、無理やり行くことにした。とにかく行くだけ行く。別に今すぐどうするか決めるわけではない。


 ハローワークに行くと色々張り紙がしてあった。

 氷河期応援求人、コロナウイルスで無職なった人応援求人(言い方が変かもしれません)そういったものが張り出してあった。こういうのは行ってみないと判りにくいかもしれない。職業訓練の張り紙もあった。


 ハローワークで検索しても、当たり前だが、ネットで検索したのと変わらなかった。


 なんとなく電験三種の条件を外して保全の仕事を探してみた。すると思っていたよりもいい条件のものがあった。年齢不問、未経験、これで賞与が6か月!? というのもあった(ただ受かるかどうかは判りません)。電験三種にこだわらず色々見てみるべきかもしれない。なんのために電験三種を取ったんだとも思うが、それにこだわって視野を狭くすることもないのではないかと思う。大事なのは自分が幸福になれるかどうかだ。格好をつけることはない。


□□


 正社員、雇用期間の定めなし、契約社員、原則更新、休日126日、105日、88日、夜勤あり、施工管理必須、電験三種(あれば尚可)、ボイラー技士2級(あれば尚可)、第二種電気工事士(あれば尚可)、資格手当あり、昇給あり(前年度実績なし)、賞与50,000~100,000、2ヶ月分、退職金あり(1年)、(3年)……色々なのがある。


□□


 1枚印刷して相談してみることにした。特段これと言うのがあったわけではない。なんというか、相談から逃げないことにした。(意味不明です)職員の方は優しそうな人でよかった。とりあえず、『ちょっと悩んでてそれで、この電験三種っていうのを持ってるんで、できたらこれを活かして働きたいと思っているんですが』と聞いてみた。


 職員の方は『第三種電気主任技術者』という言葉のを確認しながら入力していた。多分、知らなかったのだろう。正社員の求人だとこんなのがあると出してくれたのは、当然だけど自分も調べたことがあるものだった。


 相談だけしてその日は帰った。


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