(追記)1、合格発表
前書き
どうもご無沙汰しております。
この小説がどのくらい読まれているのか、ちょくちょく見に来ていました。読んでくださる方がまだいらっしゃるようで大変嬉しく思います。私が想像していたよりも多くの方に読んで頂けているようでありがたいです。
少し気になっていたのがブックマークして下さっている方がいる点で、もしかしたら続きを待っていてくれているのかな、と(自意識過剰かもしれませんが)思っており、そのうち続きを書こうかなとも考えていたのですが、結局今になるまで書きませんでした。
その理由は二つありました。
まず合否の結果が出ずに終わった方が物語として美しいのではないかと、一丁前に考えていたことが一つ、そしてもう一つはその後の生活は皆様に語れるようなものではないと思っていたからです。
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ではなぜ今書いているかというと、結局どうなったんだよ、というような感じで待って下さっている方 (いないかもしれませんが)の希望に応えておきたくなったというのと、あとは自分の今までをまとめることが誰かの参考になったり、あるいは純粋に小説として、こういう人間がいてこういう事を考えているんだな、というのを楽しんでもらえたらいいかな、と思ったのです。そんな感じです。
物語としては蛇足のような気がします。試験に向けて必死に頑張っていた私はここから先には出てきませんが、それでもよければ是非読んで頂けると嬉しいです。
※ 日記と記憶を頼りに書いているので、おかしな部分が出てくるかもしれませんが気にしないでください。
2020.10.23(金)
合格発表の日だった。去年も会社を休んだが今年も休ませてもらった。
気になって仕事が手につかないだろうからだ。もちろんスマホでもHPで番号を入力すれば確認はできるのだけれど、一人静かに確認したかった。休憩中に確認して落ちていようものなら、かなりテンションが下がってその後の仕事に支障が出る可能性が高いし。
そういうわけで発表の時間前にはアパートの自室でノートパソコンを開き、受験票を隣に置いて待機していた。
結果は合格だった。
皆さんもご存知かもしれないが、合格です、不合格です。と表示されるのではなくて、『合格者の名簿の中に(あなたの)番号があります』といった風に表示される。
その画面を写真で撮ったり、番号を1つ1つ指さしながら確認したり、さらに何度か入力しなおしたりして、間違っていないことを念入りに確認した。
今度こそ終わったのだ。達成感も喜びもあったけれど、想像していたほどのものではなかった。もっと「滅茶苦茶嬉しいぜ!」となるかと思っていたのだが。
その理由を考えるに、私は9月13日の時点で、なんというか既に緊張の糸が切れてしまっていたのかもしれない。だが、こんなことを考えるのは贅沢過ぎる。もしこれで落ちていたら、落ちる所まで落ち込んで、目も当てられないことになっていたと思う。去年(2019年)の何とも言えない感じは思い出したくもない。だからこれでいい。やっと報われたのだ。
スーパーマーケットへ行って、たこ焼きと缶チューハイを買って1人きりで祝った。
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試験後、合格発表まで、やりたかったことをやっていた。
大したことではないけれど治さないといけない病気があったり、山に登ったり(コロナ的にはOKな時期でした。どうにもモヤモヤした気分が晴れず、体に思い切り負荷を掛ければ、さっぱりするのではないかと思って行ってみたのだが、ちょっと色々あって逆効果になった。よく思い出してみたらこれは試験後の9月中だ)、いくつも映画を観に行ったり(この時期は映画OKな空気だった気がする。皆行ってた時期だった)、あとは知人の結婚式に出たりと今までできなかったことを思い切りやろうと思っていたのだけれど、どれも案外あっさり終わってしまった。
よくある話かもしれないが、できない時はやりたくなるけれど、いざいくらでもやっていいよと言われると、途端に面白くなくなってしまう。そういうことなのかもしれない。
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免状の申請をする。
『払込取扱票』という、今まで見たこともない用紙が送られてきた。
それは切り取り線で繋がった小さい用紙が何枚も何枚も繋がっているものだった。それを持って銀行に行き手続きをした。正直な所、どこに何を書いていいのかよく判らなかったので名前と住所だけ書いておき、あとは銀行の方の指示に従うことにした。
そして12月の半ばに書留で免状が届いた。
書いてある内容はシンプルだった。
『第3種電気主任技術者免状
番号
都道府県名 名前 生年月日
電気事業法第44条の規定によりこの免状を交付する。
日付
経済産業大臣 ハンコ』
『三』じゃなくてアラビア数字の『3』なんだ、と思った。
免状の届いた週末、文房具屋に行って額縁を選ぶことにした。今まで生きてきて額縁を買うというのは初めてのことだった。折角頑張って取ったのだから飾っておこうと思ったのだ。
金と赤、銀と青、木目、色々あったけれど、縁が銀色で内側に入っている布が青いものを選んだ。
家に帰って早速入れてみる。机に向かったときに見えるように、本棚につけていたフックに紐で引っ掛ける。しばらくすると、中の免状がズレた。
なんだこれ、と思ったが額縁がA4より若干大きいサイズになっていて、それでいて特に免状を固定する機能もないものだから、ズレて当然と言えば当然だった。
こういうものなんだろうかと疑問に思ったが、仕方ないのでズレないよう内側に軽くマスキングテープを貼って固定した。(免状に良くないかもしれません。真似しないでください)
終わった、解放された。そんな事を考えて達成感に浸ろうとしたが全然駄目だった。
これはゴールではなかった。ゴールは試験終了のあの日だった。私は考えないようにしていた。
今またスタートラインに立ったのだ。もっと言うと、今また新しいレースが始まってしまった。また頑張らないといけない。だから心の底からは喜べなかったのかもしれない。
もしくは人間は死ぬまで、なにもかもが通過点でしかないのかもしれない。(判ったようなことを書きました)




