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電験三種と過ごした日々  作者: 37,5or9
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1、電験三種という資格 

電験三種を受けた人々に捧げます。

1、電験三種という資格


 電験三種という資格を知っているだろうか。


 実のところ自分自身3年近く勉強しているものの、この資格を取ることでなにがどうなるのか判っていない。(法律的にどうなのかは法規という科目でやるので判るが)


 とりあえず転職に有利になるから、という理由で取ろうと決めた。それだけだった。


****


 目指した当時、私は30歳手前で派遣社員をしていた。(今もしているのだが)

30歳になる前にこの資格を取って、条件のいい所で働きたいと、そう思っていた。


 この資格を取ればきっとどうにかなる。そう思っていた。というよりは自分に言い聞かせて、それ以上の思考を停止していた。


 ふとした時、割と頻繁に、こんな勉強をしてもどうにもならないのではないかという疑念が湧き上がってくる。その度、そんなことは受かってから考えればいい。まず受かることが大切だと、また自分に言い聞かせていた。


 具体的な展望はまるでなかった。それでも資格の勉強をするしかなかった。他にどうしていいのか判らなかった。


 知り合いのつてもなく、金持ちの友人はおらず、条件のいい求人は見つからない。家族は昔から助けてはくれないし、正直少し虐待が入っていた。だから頼れないし、家族のために頑張ろうという気にもならない。だから、自分で資格を取って条件のいい職場に就職するしかない。


 いささか考えが飛躍していると思われるだろうか。そうかもしれない。でもこの3年近く、ずっとそう自分を騙しこんできたから。もう自分の中でそれが真実となっているのかもしれない。


****


 電験三種について説明しよう。正式な名称は第三種電気主任技術者試験という。まあソ連みたいな感じだろうか。(略し方が)この資格は誰でも受けることができる。それでいてある程度、需要のある資格として知られている。(歯切れの悪い言い方になっているのは、私が実感としてそれを感じたことがないからだ)というわけで私のように最後の希望に縋るように受ける人もいるわけだ。


 ネットに電験三種と打ち込めば求人情報よりも先に、資格の会社の広告バナーが現れる。


 電験三種について調べようとして個人ブログを覗いていると、気が付いたら資格会社のURLが貼ってあったり、お勧めの通信教育会社はここだなんて誘導されていたりする。


 本当に需要のある資格なのか、資格会社とブロガーたちが結託して、そういう雰囲気を作り出しているのか、何が真実なのか、よく判らなくなる。それでもきっと価値のある資格だと信じた。繰り返しになってしまうが、もう自分にはこれしかなかった。


 かなり難しい試験で(少なくとも私にとっては難しい)10人に1人しか受からないと言われていたりする。


 試験は4科目あり、直近3年の内に4つに合格すれば資格を取得することができる。科目は「理論」「電力」「機械」「法規」の4つだ。合格点は基本的に100点中60点以上取れば間違いなく合格だが、年度によって合格者数を調整するためか、50~60まで変動する。


 50からと言ったばかりだが、2019年度の法規の合格点は49点だった。50点を割ることはめったにないというか、これが初だったような気がする。


 『半分も点数取れなくて合格って、それなんかおかしくねーか?』と思われるかもしれない。私もおかしいと思うし、受験生の皆がおかしいと感じている。それでも私たちは無力だから、受け入れるしかないし、正直基準点が下がる分には文句はないのだ。問題の配点は法規だけ少し違うのだが、基本的に20問で各5点、選択肢は5択でマークシート。


 とにかく3年以内に4科目合格しないといけない。(2020年当時の話ですのでご注意ください)


****

 

 私は2018年に「電力」と「機械」を。


 2019年に「法規」を取ることができた。


 そして2020年、3年目、今年で「理論」を取らなければ来年受ける際「電力」「機械」が復活?してしまう。正直その状態になって勉強を続けられる自信はなく、今年合格するしかないと思っていた。それと同時にもし駄目だったとしても、もう諦めようと決めていた。


****


 2018年


 初受験の年、ネットを探せばすぐに出てくる一発合格の文字。(初受験ですべての科目に合格して資格を取得すること)。それが自分にもできると思っていた。



 2018年9月2日(日)

 朝早く起きて電車で受験地である隣県の工業大学へ向かう。参考書をぎりぎりまで読んで、試験に臨む。


 まず「理論」、全然わからなかった。意味が判らない怒りが沸き起こり、変な笑いが沸き起こる。


 もう駄目だ。こんなのできるわけがないと半分諦めながら、一応全ての科目を受験して帰った。合格点は半分取れていれば、あとは勘で1、2問当たれば取れるはずだからと、傲慢にももしかしたら、一発合格しているかもしれないと思っていた。そしてそんなに甘くはなかった。


 何度も自己採点をし直すが、それで点数が変動するはずもない。自信のあった法規は落とし、自信のなかった機械の点数が高かった。電力は順当だった。


****


 2018年に試験を受けた感想として、もうやめようかと思った。2科目受かることはできたが、それは運の要素もかなり含まれているように感じられたし、自分の素養としてそもそも無理なのではないかと思った。


 それでも2019年も結局受けたのは、もったいないとか、今度はうまくいくだろうとおめでたいことを思っていたからだ。


 それに単純に4科目勉強して2科目を取れた。来年(2019)は2科目だけに集中して勉強ができる。理屈で言えばそれぞれの科目にさらに2倍の時間をかけて勉強できる。これで受からないはずがない。そんなふうに考えた。


 でもそれでも駄目だった。




 理論の(個人的に)よかったと思う勉強法を残しておこうと思います。


・高校物理の電磁気を勉強する。


・加えて、等速直線運動、等加速度運動、移動距離、何秒後かの速度、位置エネルギーとか、エネルギー保存について、あと仕事についても勉強する。


・何回やっても覚えられない公式は書いてその辺に貼っておく。自分は太めのマスキングテープにマジックで書いて、あちこちに貼っておいた。


・暇なとき公式を自分で変形してみる。変形したり代入したりして、あっているか確認する。特に単位を意識する。仕事の休憩時間にメモ帳の隅に書いたりしていた。


・できる限りベクトルを書いて考える。


・できるだけ多くの問題、過去問を解いてみる。可能なら10年より前のものもやってみたらいいと思う。私は図書館で【電気の資格雑誌】様のバックナンバーを借りれるだけ借りて、問題を解いていた。


・頻繁に犯す間違いをまとめておく。試験中に答えが合わなかった場合に、ああまたあれやってるかも、と思い当たるようにしておく。私の場合は三相交流の変形で3と√3を間違えたり、式を展開したり、左辺から右辺に移す際、符号を直してないというミスが多かった。


・夜眠れないとき、部屋の真ん中に電子が一個浮かんでいるイメージをする。それから電束や電気力線が出ているイメージをしたり、もう一つ電子を浮かべて互いに影響する力なんかを考えたりする、といいかも……。


【2023.01.15 追記】


 誤字を訂正しました。

 ついでに久しぶりにこの部分を見返してみたのですが、思っていた以上に生意気な内容、文体であることに戦慄してしまいました。それで文章も直しました。


 不快に感じられていたら、本当にすいません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 誤字報告は「あとがき」部分には誤字報告できないんで感想にて 1話のあとがきで「等価速度運動」があります お値段そのままです。 自分も方言ありの発音になっていて 「どっちでもええじゃろ!」…
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