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第9話 地下基地捜索作戦

「受付の人は、3種類の依頼があると言っていたけれど、地下基地の捜索をしながら、道中で適当に狩をするということでいいかしら?」

「うん、いいよ~。でも、どうやって探そっか?」

「あら、地下基地の場所はあっちでしょ?」

「え、そうなの?」

「ええ、たぶんそうよ。そうね、のんびり歩いて行っても、明日のお昼、いえ、この惑星だと時間と外の明るさがずれるから、朝とかお昼っていう表現はわかりにくいわね。そうね、4回ご飯を食べる頃には見つかるんじゃないかしら。でもまずは、そろそろお昼だし、お弁当タイムにしましょうか」

「は~い!」


 わたしは3度の飯よりご飯がすきってくらい、とにかくご飯が好きだから、お昼ご飯は素直にうれしいんだけど、相変わらずぴぴの考えはよくわからない。なんの情報もないのに、なんで方向と移動時間がわかるのか・・・・・・。でも、この野生のカンがびっくりするほど当たるのが、ぴぴのすごいところでもあるんだよね。我が姉ながら恐ろしい。かくれんぼじゃ勝てないね。


 というわけで、わたしとぴぴはお昼ご飯を食べる。うん、はぴの用意してくれたお弁当はやっぱり美味しいね。元気もりもりって感じだよ!  そして、お昼ご飯を食べ終えたわたしとぴぴは、吹雪のせいで視界がぜんぜん無い氷の大地を走り出す。


 すると早速魔力レーダーに反応があった。第1モンスター発見だ。相手は、けっこう大きい。レーダー上の反応は全長50mはあろうかという巨体だ。ぴぴはどうするのかと思いきや、モンスターに吸い寄せられるかのようにレーダー反応にずかずかと接近していく。わたしも後に続く。ぴぴは基本人見知りをするくせに、こういう獲物に対してだけはすさまじくなれなれしい。そして、ある程度近づくと、その全貌が明らかになる。そこにいたのは、まるで氷のような甲羅を持つ、スーパー大きい亀だった。


「ぴぴ、これって」

「ええ、大きい亀ね」

「倒す?」

「今は倒さないわ。ギルドでもらったモンスターリストによると、この亀はこの氷の大地を食べるおとなしい亀のようだからね。でも、亀は美味しいと聞くし、帰りに倒しましょう。はぴのお土産に丁度いいんじゃないかしら」

「うん! そうだね」


 確かにギルドでもらったモンスターリストには、巨大氷亀と書かれている。たぶん惑星アルファの固有種なのだろう。見た目そのまんまの名前がモンスター名として書かれていた。確かに今回の作戦での討伐報酬の出る相手ではないようだ。とはいえ、宇宙パワーの豊富な惑星アルファのモンスターだ。お肉は美味しいだろうし、甲羅の防御性能も高そうだ。


 その後も、子鬼の地下基地を捜しながら、レーダーにモンスターが反応するたびにより道をしつつ進んでいく。巨大氷狼といった、討伐対象に指定されているモンスターは倒し、そうでないものはスルーして進むこと半日、今日の寝床を探すことになった。


「さ、そろそろ寝床の確保でもしましょうか」

「うん」


 そういうとぴぴはその辺の地面を軽く掘って、収まりの良さそうな穴を作り出す。


「ぴぴ? まさかここで寝るの?」

「そうだけど、問題あった?」


 大有りである。どこの世界にその辺の地面をちょっとだけ掘っただけの、簡易な寝床で満足できる猫が居るというのか。ここはお家の中ではないのだ、せめて小さめな洞窟くらいのサイズで寝床を作りたい。


「だめだめ、そんな360度パノラマの寝床なんて認められないよ」

「そうなの? BPSに乗っているのだし、どこで寝ようとあんまり関係ないと思うのだけれど」

「とにかくだめったらだめ! せめて洞窟を作ろう」

「じゃあ、あそこらへんにクレバスがあるから、横穴でも掘る?」

「うん、そうしよう」


 結局その後、近くのクレバスの壁に横穴を掘ってそこでキャンプをすることにした。でも、そこで重大な問題に気づく。ぴぴはご飯4回食べる頃にはって言ってたけど、お昼にご飯を食べて、3時のおやつにご飯を食べて、いまからお夕飯でご飯を食べて、夜食でもご飯を食べるから、それで4回だ。朝ごはんを食べたら5回になるから、夜襲でもかけるってことなのかな? だとしたら事前に説明がほしいところだ。


「ねえぴぴ、ご飯4回食べる頃につくっていったよね?」

「ええ、そうよ」

「だとしたら、今日夜襲をかけるの?」

「あら、どうしてそうなるの?」

「だって、お昼、3時のおやつ、お夕飯、夜食で、ご飯4回になっちゃうよ? 明日の朝には5回になるんだから、今日の夜ってことでしょ?」


 おや? ぴぴがおかしな顔をしてこちらを見ている。


「どうしたの? ぴぴ」

「ぷう、普通ご飯って、朝昼夕の1日3食よ?」 

「違うよ。朝、ブランチ、昼、おやつ、夕、夜の計6食だよ」

「そういえば、いつも気が付くとなにか食べてたわね・・・・・・」


 も~、やっぱりぴぴはどこか抜けてるよね。わたしは普段から1日6食以上食べてるのに、忘れちゃうなんて。


「でも、なぞは解けたよ! ぴぴの感覚で、明日のお昼ご飯の後に、目的地に到着ってことね」

「ええっと、そういうことになるわね」


 つまり、わたし基準だとご飯7回分だったってことね。なんにせよ今日の夜なにかあるわけじゃなくてよかったかな。夜はぐっすり寝たいからね。まあ、空が暗いかどうかは微妙だけど。


「ん? まって、その計算だとぷうは1日6食食べることになるのよね?」

「そうだよ。気分によってはもっと食べるけどね」

「それだと、ご飯が全部で5日分しかないってこと?」

「そうなるかな?」

「思ったよりも食料の消費が激しいわね。明日は寄り道せずに行きましょうか」

「は~い」


 その後はまったりと洞窟で過ごして、一夜が明けた。そして翌日。


「さ、今日は寄り道せずに行くわよ。寄り道しなければ、ぷうのいうブランチまでには到着するはずだからね」

「うん!」


 今日は昨日と打って変わって一直線に走って行く。昨日は初めての土地、初めてのモンスターということで、あっちにふらふら、こっちにふらふら、手当たり次第にモンスターを狩るような適当な移動方法だったからね。それでよく迷わないと思うが、まあ、もともとただのカンで走っているのがぴぴだ。その程度のことは気にならないのだろう。そして、走ること子一時間、わたしのブランチの時間より前に、目的地へと到着した。


「見える?」

「うん、ばっちり見えるよ。流石だねぴぴ。恐るべし女のカンだね」

「ふふ、まあね」


 わたしとぴぴは巨大なクレバスの上から、割とどうどうとその下を覗いている。ステルスモードをオンにしておけば、子鬼達から見つからないのは先日の戦いでも証明されているので、こそこそする必要は無いのだ。どうやらクレバスの底に子鬼達の地下基地への出入り口があるようだ。


「入り口の大きさは、高さ20m、幅50mといったところか~、BPSが入るには十分だけど、宇宙船が入るには小さいね。見張りは左右に2人、一般的な10m級の子鬼のBPSだね、どうしよう?」

「そうね。入り口も無事に見つかったことだし、とりあえずにギルドに連絡しましょうか」

「うん!」


 こういう時、ほうれん草は大事だ。ギルドや軍が攻略目標に設定していない基地だったら、2人で勝手に攻めるという手もあるんだけど、今回はぴぴの言うようにギルドに判断を仰いだほうがいいだろう。前回の戦闘ではやや消化不良だったとはいえ、ここに来る間にいろいろな原住モンスターと遊べたから、今はわたしもぴぴもそれなりに満足しているからね。


「こちら虎の22、ギルド出張所ですか?」

『はい、こちらギルド出張所です。どうされましたか?』

「子鬼の地下基地の出入り口を発見、データを送るので確認してほしいのだけど」

『っ! はい! 至急確認いたします! ・・・・・・、確認できました。すぐにそちらに職員を向かわせます』

「わかったわ。ついでに道中で倒したモンスターの位置と種類も送っておいたのだけれど、わかったかしら?」

『ええ、把握しております』

「手数料は支払うから、回収できるものは回収をお願いできるかしら?」

『かしこまりました。そちらの周辺に出張所を移すので、その際に回収させていただきます』

「ええ、よろしくお願いするわ」


 昨日適当に狩って放置したモンスターを、全部ギルドに回収させるとは、流石ぴぴ、わたしのお姉ちゃんなだけのことはあるな。ここまで計算づくとは実に抜け目無い。


「む、こうなるんなら、最初の亀も狩っておけばよかったわね。この寒さなら、早々痛むこともないでしょうし」

「うん、そうだね」


 やっぱり前言撤回、ただの行き当たりばったりだったみたい。



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