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第6話 妖精ニュースチャンネル

「にゃ~!」

「なあ~あ!」


 ゴブリンの襲撃から数日が経過した。今日もいつものように朝食を食べて、ハードボイルドにゃんこ的くつろぎかたをしていると、ぴぴとぷうがにゃ~にゃ~と騒がしい。ん~、この鳴き声は、はいはい、外に出たいってことね。


 ミニぴぴぷちゃ号は宇宙船のため、外に出る扉を開けるのに一工夫必要だ。簡単に開く構造の場合、ふとした弾みで宇宙空間でドア全開とか、大変だからな。ただ、ぴぴとぷうでも開けれるはずなのだが、わざわざ我輩に開けさせようとする。まあ、かわいいからよしとしよう。


「外出はかまわないが、気をつけるようにな」

「私がいるから大丈夫よ」

「は~い」


 さて、ぴぴとぷうは遊びに行ったが、我輩はどうするかな。そうだな、現状の把握でもしておくとするか。まず、我輩達が所属している国家は妖精の国だ。妖精族と、我輩達猫をはじめとした動物達によって成り立つ国である。人数比としては、妖精族50%、肉食動物25%、草食動物25%くらいだったはずだ。もっとも、草食動物達は争いごとを好まない傾向にあるため、いま惑星アルファにいる比率で言えば、草食動物の比率が下がるであろうが。


 そして、今我輩達がいるのは、NK222と呼ばれる恒星を中心とした星系の一番外側を回る惑星、惑星アルファだ。ちなみに、名前に深い意味はないようだ。惑星アルファというのは仮の名前だと聞いている。正式な名前は、星系の完全掌握後につける予定だそうだ。唯一中心の恒星であるNK222だけは、正式な名前になるかもしれないのだが、可能性は低いな。なにせこの星系の情報を妖精の国にもたらした者が、何を考えたのか、とりあえずねこにゃんにゃんにゃんで。と名づけたのが由来だそうだ。発見者の意向は重要だが、星系の支配には発見よりもはるかに労力が必要だ。たぶん、後でまともな名前をつけなおすだろう。


 そして、妖精達がなぜこの星系に目をつけたのかになるのだが、この宇宙では宇宙パワーと呼ばれる万能エネルギーが非常に重要な資源として存在している。その詳細はよくわかっていないのだが、どの国家も、より強く、より豊かになるために、この宇宙パワーが豊富な星系を獲得したがっているというわけだ。


 そして、このNK222星系は、いままで発見されたどの星系よりもその宇宙パワーが豊富ということが確認されたため、現在妖精の国がこの星系を獲得しようと、絶賛侵攻中というわけだ。


 とはいえ、現状は惑星アルファにこそ入植できたものの、星系そのものの掌握には程遠い。NK222星系にはまだ7つの惑星が存在するし、惑星アルファへの入植自体始まって間もないために、まだ完全掌握とはいっていない。実際、先日は他の惑星に住む子鬼どもの遠征軍に攻められたしな。


 そうそう、子鬼どもだが、あれらは魑魅魍魎だのモンスターだのと言われる存在で、我々や妖精達のような知的生命体とは一線をかす存在だ。宇宙パワーが豊富な地になぜか存在する迷惑な連中だ。その在りようも、生物というよりも、より自然のそれに近い存在だ。そのため、宇宙パワーさえ豊富なら、生物でいうところの交配等をしなくとも、雨が降るかのごとくどんどん現れて来る。そんなわけで、この星系の支配のためには、子鬼をはじめとしたこの星系の魑魅魍魎共を倒す必要があるというわけだ。


 さて現状の把握はいいとして、今重要なことは、妖精軍が今後どう動くのかだな。我輩達はハンターなので、軍の動向に直接左右されるわけではないが、把握しておくにこしたことはない。


 というわけで、TVを見るとしよう。この手の情報はYNC、妖精ニュースチャンネルで日々流れているからな。 


 うむ、我輩の予想通り、さっそく先日行われたという今後の動きに関する会議のニュースをやっているようだな。今映っているのは、今回の侵攻における旗艦、グラジオラスだな。このグラジオラスという旗艦は2000m級という超巨大宇宙船だ。今は静止軌道上に停泊しており、茎を惑星アルファにたらしている。そのため、その姿はまさに惑星アルファから宇宙に咲く巨大な花といった見た目だな。この辺の美的センスは、流石は花の民と呼ばれる妖精族といったところか。


 もちろん、ただそこに居るだけではない。茎からでる根を惑星アルファに這わせ、惑星アルファの宇宙パワーを利用してのテラフォーミングの真っ最中だ。惑星アルファには子鬼どもがもともと住んでいたため、ある程度我輩達でも暮らせる環境ではあったのだが、元が氷惑星だからな、ちょっと寒い。恒星であるNK222とも距離があるし、テラフォーミングなしには生活しにくい。


『グッドモーニング! 妖精ニュースチャンネルでおなじみのキャスター、ダリアです。この時間は旗艦グラジオラスより、先日行われました開拓省と妖精軍による会議に関するニュースをお送りいたします。まずは会議の一部始終をご覧ください』


 さて、そんな旗艦グラジオラスにある会議場で会議をしていたのは、ふむふむ、なかなかに大物ぞろいだな。メインの参加者は、開拓省次官のクチナシと、妖精軍作戦参謀のサルビアか。それに加えて、サブのメンバーとして、ハンターギルド、商業ギルド、農業ギルド、職人ギルドなどの各ギルドのトップまで参加とはな。


『開拓省次官のクチナシだ。まずは勝利おめでとうとでも言っておこうか。さて、妖精軍に聞きたい。今回の失態をどうお考えか?』


 開拓省次官のクチナシか、開拓省のトップである大臣は妖精の国の本国にいるのだろうが、まさか次官を惑星αの開拓の現場によこすとはな。それだけ妖精の国として今回の開拓を重要視しているということなのだろうな。


『ふっふ~ん! 妖精軍作戦参謀サルビアだ。クチナシ殿、お褒めに預かり光栄だぜ!』


 作戦参謀のサルビア、確かNK222星系への侵攻を提案して、提案の採用と同時に妖精軍の作戦参謀になった男だったな。妖精軍の責任者はなんとかって将軍だったはずだが、噂では作戦だの指揮だのそっちのけ、前線大好きな戦闘狂っていう話だから、この手の会議はサボりか。


『いえ、嫌味の部分はどうでもいいので、失態に関してのお考えをお聞かせください』

『え? 嫌味だったのか? くそ、俺の喜びを返せ! でも、失態? なんのことだ?』

『惑星アルファから1000万キロという近距離に亜光速ゲートを開かれた件ですよ』

『ああ~、それね。うん、ちょっと失敗だったな』

『な! ぜ! 開く前に対処できなかったのかを聞いています』

『お、おう。いきなり怒るなよ。おっかない女だな~、もう。まあ、一言で言えば、パトロールの人手不足で、1000万キロ地点は巡回してなかったからだな』

『パトロールの人手不足? そのような報告は聞いておりませんでしたが?』

『これにはちゃんと理由があるんだよ。まあ、聞いてくれ。惑星アルファは俺達が侵攻を成功させてからまだ数ヶ月しかたってないから、主に地下基地を中心に、まだ大規模な子鬼どもの基地があるのは知ってるよな?』

『ええ、もちろんです』

『んでな、その地下基地の攻略はもちろんしているんだが、思いのほか苦戦していてな。で、援軍を送ったりしていたら、いつの間にか人手不足になって、こうなってたってわけさ』

『なるほど、事情はわかりました。それで、より踏み込んだ対策はお考えですか?』

『もちのろんだぜ! そもそも今まで惑星アルファ内の地下基地の攻略が進んでいなかった理由のひとつに、俺達が今主力にしている妖精型BPSが、広い空間での戦闘用で、地下基地のような閉所での戦闘用じゃないって部分がでかいんだ。だから、いまこのグラジオラスで地上用重装備妖精型BPSの製造中だ! こいつの数が揃い次第、地下基地の攻略に乗り出すぜ!』

『それは、妖精軍保有の通常の妖精侵攻軍の使用する地上用とは別物なのですか?』

『いや、同じものだぜ』

『ではなぜ今の時点で持っていないのです? わざわざ作らなくとも、本国から持ってくればよかったでしょう?』

『それがさ~、なぜか地上用重装備妖精型BPSが入っているはずの格納庫に、地上用重装備妖精型BPSがなかったんだよ。代わりになんか食材が大量に入ってた!』

『はあ?』

『おいおい、怒るなよ。侵攻成功時のパーティーの料理はそこの食材使って作ったんだから。お前だって美味しそうに食ってたろ?』

『そういう問題じゃないでしょう! いつ地上用のBPSが出来るのですか?』

『もともと設計図はあるからな現在作成中だ。まともな数が揃って侵攻可能になるのは、30日後ってところかな』

『はあ、そうですか・・・・・・』


『え~、このような感じで、相変わらず会議はぐだぐだになりましたが、30日後をめどに惑星アルファ内にある子鬼の地下基地に向けて、大規模侵攻作戦を行うこととなりました。ハンターの皆さんにも妖精軍の本格進行の前の、敵の調査や間引きの依頼が出ておりますので、奮ってご参加下さい。さて、次のニュースは、妖精軍の情報部より、今作戦における妖精軍、ハンターの被害状況の概算が出ておりますので、そちらのニュースをお伝えいたします』


 まあ、妖精達は基本的には自由気ままな生き物だ。みんな割りと適当で好き勝手に動いているからな。会議がスムーズにいくことなんてありえないか。だが、次の目的は惑星アルファ内の地下基地攻略か。ぴぴとぷうは面白がって参戦するだろうが、ミニぴぴぷちゃ号は参加しにくいな。我輩どうしよう。



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