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06



 外が明るく白んできた頃、ネコちゃんがテラスの扉をカリカリする。


 「お外に出たいの?」


 まだ寒いんじゃあないかしらと思いつつ、開けると比較的近くからおーい!と呼びかける声がする。

 あ、少年の声。そういえばまだ名前も聞いてなかったと呼び返せないことにやっと気付く。

 私ほんとどこまで興味がなかったんだ…


 「こっちよー捕まえてごらんなさーい!オホホホホ」


 あっ起きてるー!良かったー!すぐ着くから待っててー!てー…てー…


 え、ツッコミはなしですか。

 恥ずかしいんですけどそれ。

 まぁいいけど朝の森は声が響くなぁ。


 黒ネコちゃんがお迎えに行って葉っぱだらけの少年と一緒に戻ってきた。

 とりあえずお姉さんぶることにした私。



 「おかえりなさい、どこ行ってたの。心配するじゃない」


 「いやもう10日ぶりなんだけどわかってる?」


 

 私は随分と寝ていたらしい。こちらの世界では。


 

 意識が無くなった後、呼吸をしていなかった私はものすごく心配されていたらしい。

 にもかかわらず心音はあるのだからさぁ大変。


 とりあえずベッドに寝かせて医者なり術者を連れてこようと黒ネコちゃんと家を出たら

 扉が閉まった音がして振り向いた時には建物が無かったそうな。


 それから毎日朝と夕は捜し歩いてくれていたらしく、

 昨日は黒ネコちゃんがダッシュで森へ駆け込んでいったので

 今朝は見失ったところから探していてくれたという。


 どっちも無事で良かったぁ、なんて目を潤ませて言ってる。

 なにこのいい子!ずきゅん!

 

 「えっちょっ…苦しいよ!!!!」


 つい全身全霊の愛しさを込めて抱きしめてしまった!

 弟が居たらこんな感じなのかしら…

 あぁ可愛い可愛い可愛い…

 

 「もうっそんなに小さな子供じゃないんだからやめてよね!」


 腕をつっぱって離れようとしてくるとは生意気な。


 「あらおいくつなのかしら?」


 「じゅうさ「まーだ子供じゃない」」


 ぎゅううううう!!!

 「なにこれやわらかすぎるーーーー!!やめてぇえぇぇ!!」


 森に少年の声がこだまする。

 まるで私が痴女みたいじゃない。むぅ。


 でもそういえば、私ここまでのモノは持ってなかったはず。

 もしかしてパジャマが違うどころか私自身の姿も違うの?



 「はぁっ…やっと解放された…」


 「ねぇ、君の名前と君から見た私の姿を教えて?」


 また唐突な…

 よくわからない生き物を見るような目で少年は顔を赤くしながら答えてくれた。


 「僕はミヒャエル・ベビシュタイン、ミカって呼んで」


 「で、僕から見た君は、えっと…肌が雪のように白くって唇はバラのように紅く…」


 「瞳と髪がイエローダイヤモンドみたいにきらきらしてる」



 びっくりするくらい別人だった。



 「え?口説いてる?」


 「ないよ!!!!」



 ミカちゃんの顔のほうがバラのようだよとか言ったら怒るかなぁ~んもう可愛い思春期男子万歳。

 っていやーもう無理。色々無理。っていうかそろそろブラックアウトしそう。


 きゅー…と鳴きながらヒザあたりをスリスリしてくる構ってモードなネコちゃんの頭を撫でつつ

 あ、まだネコちゃんの名前聞いてなかったな…なんてまた気付いちゃっておやすみなさい。


 とりあえず室内に放りこんでくれてたらいいからぁー…


 どうにか絞りだした声は「ほんと中身が残念すぎる!」という返事を耳が拾った。



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