俺、蛇になりました
新連載です。
(ん、んん……ん?)
意識を取り戻し目を覚ますと、またしても真っ暗闇。
(ここは天国じゃないのかっ?!はっ!まさか入国審査に落ちたっ?!)
受け答えできていたのかはわからないが、あの謎の声に自分の良いところを伝えきれなかったのかと、密かに反省をする。
(ここは地獄かぁ……いや、自分の過ちのせいで落ちたんだ。切り替えていこう……)
地獄落ちしてしまったことに絶望しつつも、俺は前向きになろうと頑張った。すると、ふと欠伸をしてしまった。
(ふあぁ〜。あっ!鬼に見つかったら叱られちまう!ダメダメ!ってか、本当にここはどこだ?独房?)
今もなお真っ暗闇の中。自分がどこにいるかもわからない。
(寝返りは……うてる。体は動くけど、狭いなここ)
体を動かして見るが、どうやら見えない何かの中に閉じ込められているようだ。
(鉄格子みたいじゃないが、なんかヌメヌメしてるし……球体か?)
冷静に自分がどこにいるかを考えつつも、やはり地獄にいるのだという可能性は消え去らない。
(いや。この壁、案外柔らかいぞ?)
手足を動かしてみるが、がっちりと縛られているのか、体も一緒に動いてしまうので、頭を壁に押し付けてその柔らかさを感じる。
(これ、突き破れるんじゃないか?)
グリグリと壁に頭を押し付け続けていると、小さな音を出しながら壁が壊れ、その壁から頭を出す。
そこから見えた光景に、俺は驚きを隠せなかった。
(こ、これは……)
目の前に広がる大森林。
木の背丈は自分が見上げても頂上が見えないほど高く、幹なんてびっくりするほどに太い。
地面はすぐ目の前で、自分がどこから出てきたのかも確認できる。
(白い殻を突き破って……ん?)
白い殻から伸びている一本の何か。
自分の頭は、その何かについているようで、手足はない。
肌色のお腹に、色素の薄い、背中についている柔らかそうな鱗。
頭をぐるりと動かして見ると、その何かも同じように動いている。
何回か見たことも、一度助けたこともあるそれは、正しく蛇だった。
(お、俺、蛇になってるううぅぅぅぅ?!?!!!)
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