閑話:勇者と魔王はごはんについて語る
ツイッターに放り投げてた分です。
気まぐれの分と10/17付けの一日分のPVが100を超えたお礼でした。
【ディートリヒ君とごはん】
「ディートリヒ君の好きな食べ物って?」
「んー、あんまり食べ物に執着がなかったというか。これといって……」
ぽつりと呟いた次の瞬間、強い衝撃と共に腰掛けていた椅子ごと引き倒され、何事かと思っていると目の前に迫る今にも泣き出してしまいそうな表情の魔王様。
ご飯大事だよ!!うう…育ち盛りの子がご飯に頓着できないほど大変だったなんて……」
少しでも揺れたらその紅玉のような瞳から零れ落ちてしまいそうな程涙が溜まり、若干ぐすぐすいっているあたり最早半ば泣いている。
「旅してましたしねぇ」
「でも!あ、小さい頃これが好きだったとかも無い?」
こてんと小首を傾げ問うその人をあざとい構図なのに違和感もあざとさも無いなぁと眺めながら、ぐるぐると過去の記憶を探るが、冷静になって考えてみるとむしろその頃の方がよくわからない液体だのを出されていたのでよっぽど不味い食生活を送っていた。
「無いですねぇ。むしろこの国にきてからの方が美味しいと思うものを食べてます」
そう言えば屋台の串焼き肉とかもここの王都で初めて食べたんですよ、と続ければ更にその整った顔を衝撃が彩る。
「美味しいって思わなかったの?」
「食事は死なない為の作業だと思ってました。楽しいものって知ったのはこの家に来てからです」
「ぇ、そうなの……ついでに君一体今まで何食べて生きてたの!?」
「パンとスープと少しの野菜……?」
「修行僧かな!?」
「修行僧に失礼です」
軽口を叩きながら、きっと近い将来食事は楽しくなりそうですよ、と胸の中で呟いた。
【ディートリヒ君のお料理の腕前は?】
「ご飯作業だって言ってたけど、ディートリヒ君ってお料理できるの?」
「人並み程度には……」
そんな会話を我が息子としたのが数日前。色々あって、良ければ今日の夕飯作りますよ、なんて言葉にお願い!と言ったのが二時間前。
結果、食卓に並ぶのは前菜にスープ、主菜。それに保冷魔道具のデザートらしいが。
「……プロの人かな?」
「少しだけ気合い入れてみました」
「少し?」
そのコンソメのいい匂いの漂う上に良い焦げ色のついたチーズの乗った玉ねぎのスープや、きのこのクリームソースの肉包みラビオリ。
前菜らしい、見るからにサクサクとした歯触りを期待させるハムとジャガイモ、アスパラガスの混じっているらしいパイという、明らかに手の込んだ料理が少し気合い?
「コンソメは以前作った物をアイテムボックスにしまってたのを使ったので」
「いや、でも明らかに手込んでるよ!?」
「飴色玉ねぎに一時間ぐらい掛かってますけどそれ以外はお手軽ですって」
至って真顔の彼に少々衝撃を受けながらとにかく卓に着こうという頃合いには、娘たちはまだしもヘルマまでスプーンを片手に待ち構えていた。
「えっと、いいかな?」
「はい。どうぞ、召し上がれ、ということで」
はにかんだ彼にありがとう、一言言い、自分も早速その美味しそうな料理に手を付けた。
肉包みラビオリのモデルはマウルタッシェ。
あれ現地で食べて見事にハマりました。
(もし面白いな〜っと思ったら、色々ぽちっとして貰えると五体投地で喜びます)




