~プロローグ~
13作品目になります。今回は夢を舞台にした連載小説です。
ぼ~としてたら、ふと思いついたので、書いてみようってなって、今回投稿することに。
プロローグということで、今回は短めですが、次回からは長く書いていきたいと思います。
投稿ペースは遅めです。他にも連載物があるということで、それも進めながら行くので……。
気長に御待ち頂けると幸いです。
それではどうぞ。
夢ノ世界はね、何だって出来るんだ。
それはもう、君の思うように。
だけど、永遠には続かない。
夢が終わると、君はいなくなってしまう。
君の想像で描かれた世界は崩れ落ちる。
そして夢ノ世界に終わりを告げる。
僕は不思議に思った。
どうして人間という生き物は理想の世界を壊してまで、夢から覚めようとするんだろう?
理由を知りたかった。
だけど僕はあっちの世界には行けない。
だって僕は夢の案内人。
夢ノ世界でしか存在出来ないから。
あっちの世界に行くと、僕は消えてしまう。
僕が消えると、夢見る生き物達に幸せな夢を提供出来なくなり、悪夢だらけになってしまうのだ。
それだけは避けたかった。
僕は欲を抑え、今日も夢見る生き物達に夢を与えていく。
「ようこそ、夢ノ世界へ!! さぁ、想像してごらん。君の幸せな夢を」
“そんな甘ったるい夢など、見せれるか。„
“悪夢こそが見る価値のある夢だろう。„
“そう、俺こそが夢の番人。„
“夢を見る生き物達の人生を見て、それに合った悪夢を提供する者だ。„
“最近は誰かのせいで邪魔されて、仕事が出来ないんだけどな。„
“くそ……あの案内人め……。„
“幸せな夢など、すぐに消えてしまう。„
“忘れ去られてしまう。„
“だが、悪夢は記憶に残る。„
“俺が作った悪夢が……頭に残る。„
“夢とは頭に残ってこそ、価値がある物だ。„
「また来たな! 君は来ないでって言ってるじゃないか!!」
『うざいんだよ…お前…。俺の邪魔をするな。夢とは記憶に残る物だってあれほど言っただろうが!!』
「違うよ!! 夢とは人を幸せにするためにある物なんだよ! 夢見る生き物達の想像で全てが作られ、理想の世界がそこに現れる……。そういう物だって何回も教えたよね? どうして分かってくれないの?」
『うるせぇ! 俺は俺の考え方で行くんだよ! いいからどけっ!! ……おぉ……こいつ、なかなかに悪いことを仕出かしてるみたいだな!! こいつにぴったりな悪夢、あるぜ!!』
「やめて!! その子はいつも悪夢を見て苦しんでいる子なんだ…!! いい加減、良い夢を見させてあげたいよ……」
『こういう奴等こそ、悪夢を見続ければいいんだよ!!』
番人がその子に目を向ける。
こうなるともう止められない。
ごめんね……。
僕が君を……守るから。
すぐに目覚めさせてあげる。
夢は幸せじゃなきゃいけない。
僕が君を…幸せな…理想の世界に案内してあげる。
次、夢ノ世界に来た時、僕を呼んでごらん。
必ず僕が夢ノ世界へ案内するからね。
ほら、目を覚ましてごらん。
夢は覚める物。
どんな夢でも、覚めない物はない。
だから。
安心して目を開けて。
―夢ノ世界の物語は一人一人違う。これは世界に一つしかない夢物語―