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異能協会×ワールドプレット  作者: 来栖 稚
異能協会の問題児
22/42

幕間 彼女たちの夜-2

「呼ぶ?」


 きょとんとした少女に、彼女は苛立たしげに腕を組んだ。当たり前でしょ、と言わんばかりに、その肘の上で人差し指が跳ねている。


「せっかく知り合いになったのに、どう呼んでいいのか分からないじゃない」

「……会長でも、神名でも、好きにせよ」

「だからぁ」


 彼女の声が大きくなった。


「会長じゃややこしいでしょ。神名? ってそれ、ほんとの名前なわけ? 仰々しいな」

「仰々しい……?」


 少女は開いた口を閉じられなかった。協会の権力たる彼女に、こんな口を利く相手は長らくなかったのだ。


「下の名前は? ニックネームとかないの」

「お主、妾を年下と勘違いしておらぬか……?」

「何十歳だかって言われたってピンと来ないよ」


 変な顔で見つめてくる彼女に気圧されて、杏佳を振り仰ぐ。頼れる部下の顔はしかし、少女と同じように固まっていた。


「お主、実は友だち多いじゃろ?」

「何だその失礼な言い方?」


 不満げな答えにようやく少し笑って、少女は肩の力を抜いた。

 あぁ、何年ぶりか、と頬を緩めて。


神名(かんな)春姫(はるき)

「春姫ね。何だかんだあるけど、まぁよろしく」


 迷いなく呼び捨てる彼女の遠慮なさに、すこしだけ安らぎをおぼえた。


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