不眠症と正義
眠れない夏の朝方
昨日の夕立の匂いが俺を追い詰める
「皆と違う生活は止めなさい」
「規則正しい人生を送りなさい」
煩い声が聞こえないように
ベッドの中に逃げ込んだ
新聞配達の鼻歌が聞こえる
夜型人間の就寝アラーム
聞かれてるなんて気付いちゃいない
明るく下手なメロディー
「この世の悪を滅ぼすんだ」って
小さい頃から教え込まれて
大人になっていくにつれて
正義が何なのか分からなくなっていく
誰かの言葉は嘘で出来ていて
誰かの嘘が誰かを救って
そういう仕組みに気付いて
もう何が正しいのか分からなくなった
閉まったシャッターの前で
声を張り上げて叫ぶように歌う
それが俺に出来る唯一の
全力で必死な「正義」なんだ