記される者達
『代々守り続けられている花、クリスタルフルール。
半透明で青白く光を放つ不思議なその花は、魔力の源となる美しい花である。
花を守護する担い手、花守と呼ばれる存在。偉大な魔法使いであり、永く花を守り語り継がれてきた。
しかし時が経つにつれ力を得られる花として存在を知られるようになり、狙う者の数は増え続け何年もの間争ってきた結果、花守達は減っていきやがて一人の魔女が生き残った─────。
魔女は花を守るため深い森の中に存在を隠し、誰も触れぬよう森全体に魔法が掛けられた。
その力は凄まじく、誰もが魔女を恐れたが奪おうとする者はついに絶える事はなかった。
最後まで花を守るため魔女は自分の命と引き換えに力を使い果たし忘れ去られ、孤独な終焉を迎えた──────。』
***
「まぁ歴史書にはここまでしか載ってないんだけどな・・・・・・」
「何?その後があるの?」
進入禁止の地下にある魔法学校の書庫で、こそこそと悪巧みをする二人の男子生徒の姿があった。
「花守のお仲間のために魔女が最後に建てた石碑の事は知ってるか?それが何処に在るのかも」
「森の近くだろ?」
「違うって、今俺達がいる地下なんだよ!学校!」
「えっ?じゃあ俺達やばくないか?あの噂が本当だったら・・・・・」
一人がそう言って地下から出て行こうとするのをもう一人が止め無理矢理席に戻す。
「おいおい、今さらビビるなよ!ただの噂だろ」
「噂だからだよ・・・・まぁ、この学園が何かを守ってる事は分かったよ」
そう言うと、もう一人の生徒が一枚の花びらを机の上に置いた。
「これって・・・・まさか、クリスタルフルールの・・・・・・?」
「凄いだろ!偽物かもしれないけど前に石碑を探してた時偶然地下前の廊下に落ちてたんだ」
「前にって、一人でもう来てたのか」
「下見だよ下見!そんな事よりますます噂が現実味をおびてきただろ。そこで!明日の夜、狭間の森に入ろうと思う─────」