陽だまり
すがった手を
振り払われるのが怖くて
一歩も踏み出せずにいるうちに
本当に欲しいものが何だったのかなんて
すっかり忘れてしまったみたい
どうしようもないやりきれなさを
やり過ごすことを覚え
それが大人になることなのさと
皮肉な笑いを浮かべながら
それでも
触れられることのなかった肌は
今なお
手の届かない温もりに
恋い焦がれ
切り捨てたはずの
声にならない声は
時を越えて
叫び続けている
おかしいね
光の中で生きることなど
もうとうに
あきらめていたはずなのに
僕はいまだに
幸せな陽だまりの
夢を見てしまうんだ