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1話ーつまり、最悪が始まってしまったという事

カチカチ…


部屋に鳴り響くクリック音。


「はあー…」


口から出る溜め息。

パソコンのディスプレイは今だに新しいページを開き続けている。


ネットサーフィン。

少年、板井吉孝はそれを繰り返す。

彼にとって、ネットとは2択のものでしかない。

それは、面白いか、面白くないか。

ただそれだけのことだった。


暇潰しにパソコンをいじろう、そうなると、

面白さを追求するのは当たり前の事。


だから吉孝は面白くないサイトだと自分なりに判断すると、

次のサイトへと飛ぶ。

彼はそう言う男だった。


だが、そんな彼の目の前に、

【ディストピア】という言葉がでてきた。


「なんだ?これ」


吉孝は気になりそのサイトを詳しく見る事にした。

吉孝はこう言った横文字にすこしばかり引かれる傾向があるようだ。


「…つまり、ディストピアってのはユートピアの対義語で、日本語的に言うと反理想郷と理想郷みたいなもんか」


吉孝はこの時、頭に舞い降りたものがあった。


「確か、俺の学校の七不思議にディストピアとかなんとか言う…あ」


その学校の七不思議の内容とは、

夜中の学校に忍び込み、西階段へ行き、2時30分に踊場にあるはずのない鏡が1階から4階にランダムに現れるので、奇跡的に見つけることができたなら、その鏡に両手をつき『俺の(私の)最悪のディストピアを見せてくれ』と言う。

すると、鏡はその最悪のディストピアを見せてくれるらしい。


「つか、コレ4人でやったって人いたけどその人達怪我したとかなんとかでこの七不思議はヤバイって聞いたような…」


吉孝は少し悩んだ。

もうすぐ夜中の2時になるからだ。


「ディストピア…反理想郷…」


そんなのは、自分自身に聞けば済む話だ。

わざわざ危ない目をして鏡に聞く事なんてない。


そんな事ぐらいわかってる。


だが、吉孝は怖いもの見たさに出掛ける準備をした。


「こう言うのは、ノリが大切だからな」


吉孝はネットサーフィンなんてものを日課にしているが、学校では中心ではないが、居なくては物寂しい。そう思わせる存在なのだ。

なので、ノリもいい方なのだ。



―学校到着―


「ほ、本当に来ちまった…」


吉孝は自分でも驚きを隠せないほどに驚いていた。

真夜中の学校の門を一人で乗り越えた事や

学校に忍び込むために鍵が空いてる窓を探してる事など、


「あ、あった」


鍵が空いてる窓を見つけると、吉孝はその窓から学校に侵入した。


何よりも驚きなのは、この学校のセキュリティだな。とか、冷静に考えれている自分が怖く思えるほど驚きな吉孝。


「西階段…」


七不思議は“1階から4階にランダムに”と言っていたので、吉孝は少し考えた。


「学校のテストだとまず疑うのは3番目のものだが…」


なんの根拠もない吉孝なりの迷ったときのテストの記号問題の解き方。

そんなものが役に立つわけもなく、吉孝はテストで毎回間違っていた事を思い出す。


「で、でもこれはテストじゃねーんだし、」


こめかみを人差し指で突き刺し悩み悩んだ結果。


「カンに頼ろう!」


こう言うのは直感だ、そう思った吉孝は

やはり3階へ向かった。


「運良く鏡現れたりなー」


吉孝は自分のディストピア、反理想郷を見れるかもしれないと、少しながらも淡い期待を抱いていた。


だが、その期待は3階へ行く前に叶ってしまった。


「か、がみ…?」


3階へ向かう途中の3階と2階を繋ぐ踊場にそれは現れていた。


「ま、まぢかよ…」


吉孝はその鏡に手をついた。

あとは『俺のディストピアを見せてくれ』と言うだけだ。

だが、吉孝は迷った。

いや、冷めてしまった、の方が正しい。

なぜなら…


「ディストピア、反理想郷を見たところで何のプラスになるって言うんだよ」


わざわざこんな夜中に家族にばれず、学校に忍び込んでまでする事ではないはずだ。


それに反理想郷ということに対しても少しばかり突っ掛かった。

未来に起こってしまう最悪な出来事を見るならともかく

起こるかもしれないだけのただのディストピア。


今更ながら、ここまでよく来たな、相変わらず俺のアホさに尊敬すら覚えるぜ。

吉孝がそう思い、ディストピアを見らず、帰ろうとしたとき、


『きゃああああああ!!』


それは鏡の中から確かに聞こえた。


「な、なんだ…コレ…」


吉孝の目の前にある鏡は、生徒が何人も血だらけでピクリとも動かずに寝転がっている、地獄絵図を映し出していた。


「なんで…、まだ、何も言ってないのに…」


『俺のディストピアを見せてくれ』とは言っていないのに鏡が映した吉孝のディストピア。

吉孝はその光景に足がふらつく。


が、その時、


『コレはお前を守るためにしてるんだぞ?』


鏡の中で、この地獄絵図を作り出したであろう包丁を持っている30代の男性。

その男性の近くには同じクラスの女の子がいて…


『でも、もうお前なんて必要じゃない子だ』


そう言った30代の男は包丁を振り上げその女の子へと降り下ろそうとした、…が。


「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」


吉孝は見てられなくなり、鏡に向かって叫んだ。

すると、鏡は何も映さなくなったのか静かになった。

叫ぶさいに、固く閉じた瞼を両目ともタイミングをずらして開けた。


「……?こ、ココは?」


真っ白い部屋で吉孝は椅子に座っていた。

その部屋には校長室のように人の顔の写真が数人も飾られてあった。

真っ白いその部屋には吉孝が未だ座ってある椅子とその写真達しかなかった。


状況把握できない吉孝


「ヤッホー、よく来たね、今日から君は君のヒーローになれるんだよ、光栄に思いたまえ♪」


そんな吉孝に謎のパイナップル頭の女の子が声をかけてきた。


「俺が俺の、ヒーロー…?」



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