蜜蜂の抵抗
捕食者の目ってこのことを言うのかな。
視線が絡まって抜け出せない。
どくんどくんから、どどっどどっと脈が速くなって心臓の音が聞こえる。
私のおとか、それとも。
私は私より『ステラ』を選んだ彼と目の前の人間を重ねてしまっていたみたいだ。
違う人間だ。たとえステラを選ぶのがわかっていても。
突然の行動…手の甲にキスするという奇行と奴の目を見てから、フラッシュバックのようになっていた記憶と私の思考が少し落ち着いた。
というか意識がそちらにむいてしまった。
「なにか、あったんですか?」
奴の言動が質問に変わった。
「え?えっと・・・」
綺麗な目に汚い部分を見透かされたのかと思って口ごもってしまう。
「違うな・・・あなたになにがあったのかおしえてくれますか?」
鼻の奥が痛くなってぶわっと視界がゆがむ。
「なに、いってるのかよくわかんないです。」
やさしくしないでほしい、何か期待しそうになる。
「ニーナさん」
「ちょっと、手をはなして?」
「離しません、ステラとあなたになにがあったんですか?」
「・・・。」
「話す気がありませんか?」
私とステラという人の間にはなにもない。
見かけたことはあるけれど、話したことさえないんだから。
「ありません」
何かがあったことはないというつもりで言った。
間接的に、しかもこちらが一方的に僻んでいるだけだ。
「話さないつもりならまたキスしますよ」
「は?いや、そうじゃなくて。」
「今度は口に」
人の話を聞きたいという姿勢をとっておきながら何を言い出すんだ。聞いてないじゃないか。
「・・・キス魔ですか?」
「そうかもしれませんね。」
捕食者は綺麗な顔をしている。
入退院を繰り返してます。暇をもてあましているのに
病室でかけばいいって気づけませんでした。
ロイの変態スイッチが入ったタイミングは結構前です。
停め方がわかんないようです。