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いつも君がいた  作者: 遙香
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007:翌朝

プチ旅行から帰ってまいりましたー☆

これからも頑張って更新しますので、どうぞよろしくお願い致します。


 引っ越しに始まった急激な環境の変化で、肉体的にも精神的にも疲れていた零は気付くと深い眠りに誘われ、お気に入りのクマを抱いたままぐっすりと眠っていた。窓から差し込む春の光は暖かで明るかったがロフトの上までは届かず、零の眠りは柔らかなシーツにつつまれて穏やかに続いていた。

 「・・・ちゃん、零ちゃん、もう朝食の時間だよ、」

「・・・まだ眠いの・・・」

優しく肩をゆすられて、完全に寝ぼけている零はクマを抱いたまま呟いて寝返りを打つ。

「このお寝坊なお姫様は僕を誘ってるの?あぁ、そうか、姫は王子のキスで目が覚めるものだったね、」

ロフトのはしごを2段ほど上り、眠っている零の耳元に囁く。

 天使の様にさえ見える寝顔。可愛すぎて理性を失いそうになる。この可愛さは罪だ、とかおるは苦笑した。

「お姫様、目を覚まして下さいな?」

零の寝顔に顔を近づけ、額に軽く指先で触れる。

「・・・ん・・・」

零は額にくすぐったいような刺激を感じてまどろみの世界から引き戻される。覚醒する意識と同時に、睫毛が触れそうなほど間近にある王子様かおるの顔が視界に入り、寝ぼけていた脳がたたき起こされた。

「・・・・そんな、悲鳴上げないで。おはよう、零ちゃん。・・・あ、駿も、おはよう。」

目覚めと同時にドアップの男前かおるに、女性としての本能なのか、まだ半分寝ぼけているせいかは不明だが、零は人生最大級の悲鳴をあげ、その悲鳴に駿が部屋に駆けつけた。

 悲鳴の元凶となったかおるは涼しい顔で二人に朝の挨拶をした。

「おい、かおる、お前何かしたのか?!」

責めるような駿の口調に、穏やかなかおるの表情に一瞬驚きが走る。

「・・・何も?お寝坊な眠り姫を起こすのに、目覚めのキスをしようとしただけ、」

「キッ、キスッ?!」

シーツにくるまってロフトの上に座ったままの零の声が裏返る。

 さっき、額に触れたのって、ま、ま、ま、まさか・・・

カァッ、と頬が熱くなる。

「してないよ。寝顔があんまりにも可愛くてちょっと理性を失いそうになったけどね。」

かおるはそう言って微笑む。

「ね・・・寝顔・・・」

「そう、寝顔。だってノックしても呼んでも返事がないし、万が一何かあったんじゃないかと思って部屋に入ってみたらぬいぐるみを抱いてすやすや眠ってる天使がいたからさ。」

思わずみとれちゃった、と事も無げに言うかおるを駿がにらむ。

「ソイツは女なんだ、お前もう少し気を使ったらどうなんだ、」

駿の眉間の皺を見て、朝から機嫌が悪そうだ、と零は思う。

「うーん、気は使ってるつもりなんだけど・・・。これから部屋に入るときは、もう少し気をつけるよ、」

かおるはそう言って零にウインクし、ロフトの上の零をシーツごと抱き上げる。

「あっ、ちょ、ちょ、まっ」

「ちゃんと掴まって?危ないから。」

慌てふためく零を抱いたままはしごをおり、零をドレッサーの椅子まで運ぶ。

「足はどう?まだ痛む?」

「え、あ、足っ?あ・・・」

いろいろありすぎて、足を捻ったことなど忘れていた。足首に巻かれた包帯を見て昨日足を捻った記憶がよみがえる。

「も、大丈夫だと・・・思う。」

動かしてみても痛みはなく、少し違和感を感じる程度で零はほっとした。

「朝っぱらから、人騒がせなヤツ。」

駿はそう言い捨てて、部屋を出て行く。その後姿を見て、零の胸の奥が鋭く痛んだ。

「・・・零ちゃん?僕がいるのに、他の男に気を取られるなんてひどいなぁ。駿は恥かしがりやだからね、打ち解けるのには時間がかかるかもしれないけど・・・すごくいいヤツだから、あまり駿の言葉に傷つかないでね?」

「・・・うん、」

「じゃあ、朝食に行こうか?」

かおるはパジャマのままの零を再び抱き上げ、部屋を出ようとする。

「あ、あ、あ、あのっ!私パジャマだしっ!も、足痛くないしっ!」

「だから何?」

「だ、だからっ!あの、着替えて、一人で行けるからっ!」

「どうして?」

「ど、どうして、って、」

「朝食はみんな着替えてないよ?零ちゃんもこのままで大丈夫さ。それに、痛くなくても今日はまだ無理に歩かない方がいいし・・・僕は零ちゃんを抱っこしたいから、これで問題ナシ。」

 わ、私的には問題おおありなんですけど・・・。

「はい、だからちゃんと掴まって?ほら、僕の首に手を回す!」

 もう、ダメだ・・・このまま気を失ってしまいたい。もう無理。私には、刺激が強すぎます・・・。

昨日マヒしたはずのお姫様抱っこだが、心臓が痛いほどに暴れ、体が熱くなる。

そんな零にはおかまいなしに、かおるは零を食堂へ連れて行くのだった。

私的に、あぁ、こういう男子がいたらいいなぁという妄想の元に・・・このお話を書いておりますので、そろそろ『絶対こんな奴いないよ!』と言うツッコミが入りそうですが・・・その辺りはご容赦くださいませ。

高校3年生の一年間のお話なのに、最初の1日だけで7話まで行ってしまいました。反省・・・・もう少しスピードアップします。

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