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一人百物語 2

チェンジ

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


以前同じ職場だった田中君の話。

田中君はワンルームマンションで一人暮らしをしている。

小さな部屋の事、部屋入口の引き戸を開けておくと、部屋の奥に置いたベッドからも玄関のドアが見える。

引き戸を閉めると余計に狭苦しく思えるので、引き戸はいつも開っぱなしにしていた。


ある日の夜、何時頃かはわからないが、ふと目が覚めた。

どうして目が覚めたのだろうとぼんやり思っていると、何故か玄関の明かりが点いており、ドアの前に誰かが立っている事に気づいた。

それは身長が180センチ程もある様な背の高い男性で、茶色の革ジャンと黒いズボン、そして頭には黒い毛糸の目だし帽を被っていた。

田中君は目だし帽姿の男に、当然のごとく泥棒だ、と驚いたが、次の瞬間には男の姿も玄関の明かりも消えていた。

が、それから時々目だし帽姿の男は玄関のドアの前に現れる様になり、現れる時は何故かいつも玄関の明かりも点いていた。

目だし帽姿の中身は誰かはわからず、出てこられるおぼえもない。しかもわざわざ明かりを点けて出てくるなんて……

気味が悪く、引っ越そうかなと思いだした頃のある夜、またふと夜中に目を覚ますと、玄関の明かりが点いており、あの男が立っていた。

ただ、いつもと違って、男が被っているのは黒い目だし帽ではなく、何故か真っ赤な毛糸の目だし帽だった。

(え?)

どうして帽子の色が?ともう一度見直すと、男の姿は消えていた。

それから以後、目だし帽姿の男が出てくる事はなかったという。

目だし帽の中身がいつも同じ者だったかはわからず、色の違いについてもいまだにわからない。





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