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2 運動場の隅で
「ヘイ、パス!」
「下がって、下がって!」
体育の授業中、広い運動場には沢山の音が溢れている。チームメンバーへの掛け声、応援、砂を蹴る音、ボールが跳ねる音、空気を切り裂く笛の音。
私は、運動場の隅で小さく身体を折り曲げて座っていた。目は、左コートでハンドボールの試合をしている彼女の姿を自然と追いかける。
彼女は次々とパスされていくボールを追って、長い脚で軽やかに地面を蹴っていた。
「あかり!」
声と共にとんできたボールを身体の前でしっかりと受け止めると、彼女は身を屈めて敵チームの生徒をかわし、滑らかな動きのまま、あっという間にシュートを決めた。
ピピィーッ
得点を知らせる笛が鳴ると、わっと歓声が上がり、彼女は敵味方関係なく沢山の人に囲まれた。腕で汗を拭って、口を大きく開けて笑う。
「休憩終わりー。集まってー」
私は右側から聞こえた先生の声に振り向くと、重い腰を上げて自分のコートに向かう。体育の選択種目。私はサッカーで、彼女はハンドボールだ。
後ろをちらりと振り返ると、彼女は駆け寄ってきた仲間たちと盛り上がっていた。




