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よろず屋フラン  作者: 天明ほのか
動き出す運命の歯車
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久々の侵入者

あれから二週間が経ち、団長からの手紙には結局食料援助と騎士団の派遣を行うことになり自ら志願して団を率いているそう。幸い寒波も収まり栄養失調の人が多いくらいで大きな被害はなかったと。せっかく大量の荷物を運ぶのに新しい技を習得して詰め込むのを楽しみにしてたのに。

亜空間。大量の荷物を運ぶのに新しく習得した技で入らなかったものはない。例え生き物や死体でも...

「ああああああっ!!!」

習得中に襲ってきた魔獣を亜空間に入れっぱなしだった。あれから結構な時間が経っている。中身は絶対に腐っていること間違いなし。亜空間を開き顔だけ覗かせ中身を確認する。勿論息を止めて。

しかし、討伐した時と同じ状態の魔獣に違和感を覚え少し触ってみる。生暖かい温度と少し筋肉質な感触が手の平に伝わり討伐した直後の状態がそのまま保たれてることが分かった。

ただいくら状態が保たれるといっても死体を入れておくのは気持ち悪いのですぐ森に還してきた。


どうやら亜空間の中身は状態維持が出来るらしいことが分かったので、弁当と称して暖かい料理を作らせ入れてみようと調理室に軽快な足取りで向かう。

屋敷にいる者は大体後ろ暗い過去があるものが多いのだがそんな中、料理長のマリクさんだけは唯一ちゃんとした料理店から引き抜いた者だ。庶民向けの料理も食べることが多い私の為に色々と配慮してくれるのでどこに行ってもマリクさんの味が忘れてられない。

廊下を満面の笑みで歩く私に後ろから殺気の籠ったナイフが投げなれる。その殺気に気付いた私は頭を傾け飛んでくるナイフを避ける。振り返ると黒衣を纏い、仮面を付けた不審者が一人こちらに歩み寄ってくる。勿論こういう時のために全員ナイフを隠し持っているのでそのナイフを取り出す。するとまるでそれを待ってたかのように不審者もナイフを取り出しお互い構えの姿勢を取る。

緊張感が漂う静寂に耐え兼ねたのか不審者が一撃斬撃を放つ。狙いは首。それをナイフで防ぎ相手の腹に蹴りを入れる。が避けられ少し体勢をくずしてしまう。更にその隙を付かれ腕を掴まれ投げられてしまう。私は体を捻り着地し体勢を立て直すために距離を取ろうとするが追い詰めるように不審者は斬撃を連続で放ってくる。それに耐えられなかった私は足元を掬われ体勢を崩し地を背にしてしまう。

「フランちゃんもまだまだね」

そんな言葉と共に不審者は仮面を取り素顔を見せる。お母様である。

不定期で開催されるこの催しは、もし屋敷にその手の者が現れたらというのを想定して行われる。もちろん本物と見分けるため家の紋章を付けたりナイフは専用で刃が潰してあったりと様々。

「流石にお母様相手では勝ち目がありません」

「うふふ、ただいま」

「おかえりなさい、お母様」


「手紙読ませて貰ったわ。それで新しく仲間になった助手はどちらに?是非紹介して頂戴!」

「ええ、今読んできますわ。」

あくまで助手というのは肩書に過ぎず記憶を取り戻すため一緒に行動しているというのはちゃんと理解しているのだろうか。そうでなかったら地獄の特訓メニューを強制的に課されるのだが。

とりあえず、シエルがいつも居るであろう書斎に行き、読書の途中だったが腕を掴み無理やり引っ張って来た。

「連れてきたわよ。」

そう言い部屋に入りシエルを見た直後驚いた顔をして

「この娘どこで知り合ったの?」

と少し冷静さを取り戻し問う。私はシエルと出会った時の出来事を話した。

「...そう、そんなことが......」

そう言う母の顔はいつの笑顔と違ってどこか真剣な眼差しをしていた。

「お母様?」

「なんでもないわ。」

いつもの笑顔に戻り安心したのも束の間、用事が出来たと言って屋敷を後にしてしまった。母は現役の暗殺者じゃないにも関わらずいつも忙しそうにしている。一度何をしているか聞いたこともあったが秘密と言ってはぐらかされてしまった。父と協力して何かしているのは間違いないのだろうが。



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