表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋フラン  作者: 天明ほのか
不思議な出会い
5/41

『楽園』の使徒

ついにこの日がやってきた。私は帝国領内のとある村に依頼で来ている。最近帝国内で女子供が行方不明にある事件が相次いで発生してる。その行方不明者の捜索依頼を受けていた。まずは情報収集のため村人から情報を集める。まずは被害にあった子供の両親から話を聞いた。

「朝起きたら息子の姿が見えなくて。村人全員で周囲を捜索しましたが見つかりませんでした。」

男性は悲愴な顔持ちで語る。

「あの子は少しやんちゃな部分もありますが、本当にやってはいけないことはしない子です。一人で村を出るなんてありえません!どうかあの子を見つけて下さい!」

対して女性の方は諦めない強い目をしている。

「任せてください。私たちが必ず見つけてみせます。」

「はい!!」

次は村長に話を聞きにいくことにした。

「最近村やその周辺で起こった異変を教えてください。些細なことでも構いません。」

「う~ん、酒を飲み過ぎてカミさんに怒られたくらいしか...」

「あなたのことではなくて。例えば、誰か村に訪ねてきたりとか。」

「ああそうじゃった。森を彷徨った青年が村に来てのぉ。外の話を聞いたら楽しくなってつい飲みすぎたんじゃったわ。」

「それでその青年の装いは?」

「ボロボロじゃったが鎧と剣を持っていたのぉ。魔獣に襲われて逃げ回って大変じゃったそうだ」

鎧と剣。まさか傭兵が関わっているのか?それなら10年前も情報が少ない理由に説明がつく。ただどうやって気付かれずに誘拐したかだが。もう少し情報を集めるか。

「ありがとう村長さん。」


「ここからは二手に分かれて情報を集めるわ。シエルさん、あちらの方をお願いします。」

「分かりました。」

そうして村人から情報を集めシエルと合流し情報交換をした。すると奇妙な点が出てきた。村人は日替わり交代で夜の警備をして、更にその日はよそ者がいるとのことで人数も倍になっていたらしい。門番もいるのにそのような状態で気付かれずに誘拐が可能か。否、例え隠密が得意な母でもこれは不可能であろう。こういう不可解な状況で真っ先に思いつくのは古代魔法王国の遺物。おそらく透明になるか認識を阻害するような遺物でも使ているのだろう。ともかく集められる情報はもうないだろう。

ここからはセバスチャンの情報が頼りになる。事件が起きた場所と日時を地図に書き線で繋げる。そうするとめちゃくちゃな動きをしているが、全体を通して見てみると東から南、そこから西へ行き最後の点。この村を線で結ぶと東への動きに見えるがこれは誘導させるための罠。北にあるエレバス山脈に犯人のアジトがあるはず。そう思い準備をする。


ここ一週間で覚えた技の一つに転移を連続で使い擬似的に空を飛ぶ飛翔というのがある。勿論自分以外の大きな荷も運べることは実証済である。

「手を繋ぎますわよ。」

「はい。」

美しい顔立ちと女性を思わせる柔らかい手に思わずドキドキしてしまう。それに近くによるといい香りが...

「じゃなて、空を飛びます。気を付けてください。」

そう言い空を見上げその空間を把握する。そして転移する。

「空を飛ぶって、え...?」

空色に満ちた私たちはそのまま落ちる感覚を覚える。急いで山脈の方を見てそのままれ転移する。ふと隣を見ると恐怖で無言のシエルが私の手をぎゅっと握っている。よく見ると目を瞑っている。そんな姿に可愛いと思ってしまっていた。

少しすると湖が見えてきた。慣れてきたのかシエルはその光景に

「わぁ~綺麗~」

と目を輝かせていた。湖面に反射する山脈や空色と流れる雲がとても幻想的である。しばらくここに居たいが今は依頼遂行中。惜しい気持ちを押し込んで山脈を目指した。

しばらくすると山脈はもう目の前だが肝心の誘拐犯のアジトの正確な場所が分からない。そうこうしているとシエルが

「あの洞窟、怪しいと思う。」

そう指さす方に薄っすら洞窟の影が見える。地上に降り洞窟の入り口を観察すると最近人が出入りした痕跡を見つけた。


意を決し洞窟の中に入ると入り口付近は真っ暗だったが、少し先に進むと壁に明かりが設置してある。明らかに怪しいと思いつつ、先に進むと変なものを発見した。大きなガラスの容器に水のような何かが満たされそこに子供が沈められている。

「何、これ」

その不気味さに少し恐怖を覚えながらも奥へと足を進める。しばらく進むと大きな空間に出た。辺りをっ回すと白い衣服を付けた人が机に齧り付きペンを走らせている。

足音に気付いたのかこちらに振り向く。

「おや?侵入者ですか、そうですか。ならば丁度いい!私の最高傑作のお披露目会をしよう!」

そう男は言うと奥からガシャンガシャンと音を立てながら大きな金属の人形が出て来る。

「何あれ!?」

「驚きましたか、そうでしょう!そうでしょうとも!この子は私が作ったRz32人型戦闘兵器。是非ともその力を味わって頂きたい。」

男はそんなことを言いながらニコニコしている。見た目から研究者であることは分かるが、バートン博士と言い研究者はどこか頭のネジが外れているのが普通なのだろうか。

「シエル、離れていて」

そう言い奥に行ったことを確認した後、シエルに結界を施す。私も人形遊びはしたことがあるのでどこが弱点か分かる。

「まずは関節!!」

転移を使い背後に回り足の関節を狙うが、キィンという音と共にナイフが弾かれてしまう。すると人形は胴体を回しこちらを見つめている。それも束の間、目が赤く光り危険を察知して咄嗟の判断で結界を張りながら回避をする。その直後私が居たであろう場所は赤い光線が通り過ぎ背後で大きな音と共に地面が揺れるのであった。

この状況が続けば洞窟が崩壊すると思い斬空刃を放つ。すると人形は二つに割れ動かなくなった。

「ああ、私の...最高傑作が...」

すると突然洞窟内に拍手の音が響き渡る。

「誰!?」

そちらの方を向くと若い少年が空中に浮遊している。分かる。こいつが魔女が行っていた奴だ。

「初めまして。僕はノア。『楽園』の使徒No.2≪魔術師≫だよ。」

そういい無邪気な笑顔を見せるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ