明かされた真実
「アリス、帰るわよ。」
「え~、まだ終わってないじゃん。」
「どうやら違うみたいよ。それと帰ったら報告をしないといけないわ。」
そう言い立ち去ろうとする姉妹に声をかける。
「いきなり攻撃をしてきて謝りもせず帰るなんて、親に随分いい教育をされたようね。」
すると鋭い殺気を放ちながら振り返り
「私たち『黄昏』の守護者は遺跡の監視と保護を目的としているの。己の罪を償うためにね。」
そういい立ち去ってしまった。
私は壊れたネックレスを拾おうとして視界の端に映る銀色の何かに気付き目をやる。すると銀髪が見えた。私の髪は母親似のカーマインの色だったはず。
「フランさん髪と目が変わって...」
どうやら目の色まで変わっていたようだ。おそらく壊れたネックレスの効果で見た目が今まで変わっていたのだろう。そしてこれを貰ったのは母から。母はこのことを知っていたに違いない。しかし何故このようなことを。
私は昼食を取るのも忘れて急いで屋敷に戻っていた。屋敷の前で馬車が止まっており、ちょうど父と母が下りているところが見え急いで駆け寄り声をかける。
「お父様、お母様!!」
「フラン...そうか、知ってしまったか。」
その後事情を説明するとのことで書斎に通された。父と私二人、少しの静寂の後、父が切り出す。
「今まで騙していてすまなかった。」
そう言い深く頭を下げる。
「どういうことかちゃんと教えてください。」
「ああ...まずフランは書面上でしか実子でない。実の娘ではないのだ。」
やっぱりそうか、と自分でも思ったより素直に受け止める。
「フランを拾ったのはとある仕事で海辺の町に来ていた時だった。仕事が海を眺めようと浜辺に来たらお前が倒れているところを発見した。ただの漂流者にしては変わった服装、そしてその銀の髪。その髪は大陸の殆どを見て回った私でも見たこともない色だった。その特徴から町の漁師の間に伝わる不可侵領域の出身なのでではないか、そう思い引き取ることにした。ただその見た目はこの大陸出身でないことは一目瞭然だ。だから身の安全のために書面の偽造とあの遺物を渡したのだ。」
「では私に暗殺などの危険な仕事をさせてくれないのは?」
「ノートン公爵家に生まれたものはこの王国の闇を掃う業を背負わされる。書面上は実子とはいえフランには自由に生きて欲しかった。」
「じゃあアリア姉さまやニーナ姉さまもこのことを知って...?」
「ああ」
しばしの静寂が訪れる。
「恨むか?」
「助けてくれた上に育てて下さった両親に恨むなんてそんなことあるはずないでしょう?」
「ふふ、ありがとう。もし故郷のことが知りたかったら西の方にある町、サーランドを目指すといい。」
私は礼を言い書斎をでた。そして自分の部屋に戻り鏡を見る。ルビーのような紅い瞳と輝く銀の髪が見える。改めて父の話が本当のことなのだと実感する。