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よろず屋フラン  作者: 天明ほのか
不思議な出会い
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遺跡調査の依頼

私ことフランベル・ノートンはよろず屋を経営している。世界中から集めた珍しい品々を売っているのは表向きのこと。その実態は世界各国から依頼を受け、そこの国や町から『ついで』に品を仕入れている。

どんな依頼かは千差万別だが物の修理や誰かの手伝いなどの甘いのもではない。

私はエルナート王国の闇を掃うノートン公爵家の三女、暗殺や諜報、破壊工作なども家族である特に母から一通り教わっている。そういう意味でのよろず屋であるが、兄や姉に依頼を殆ど奪われている。

おかげさまで大変暇で、他国のちょっとした依頼を受ける方が実は多かったりする。


そんな私に一通の手紙が届く。差出人は隣国のヴェルニア帝国のバートン博士から。

私は思わず、深いため息をつく。

前の依頼では空を飛ぶ魔導具の使用試験で散々な目にあった。

これも仕事だと意を決して手紙の中身を確認する。

手紙の中身は、帝国で新たに発掘された遺跡の調査をしてほしいとのことだ。

私は急いで支度をしていると、部屋にノックの音が響く。

「どうぞ」と返事をし扉が開かれるとそこには執事のセバスチャンが神妙な面持ちで立っている。

「数日前から帝国の情勢が不安定のようです。あちらに行かれる際はお気を付けください。」

「帝国が?まさか100年戦争の禍根の影響で?」

「まだわかりませんがその可能性が高いでしょう。」

「ニーナお姉様も大変ね。」

今から120年前、突如として発生した異常気象により作物は全滅し、そのような状況が数年にわたって続き追い打ちをかけるように疫病が発生。

帝国はこれを王国の呪いと称し宣戦布告。そこから100年及ぶ戦が行われる中、王国が疫病の特効薬を開発し和睦をすることに。終戦から20年たった今でもその禍根は各国で残り続けている。


私は屋敷を後にし王都を出て帝国行きの街道から少し離れた森に足を運ぶ。

周囲に人が居ないことをしっかり確認してからその力を行使する。

帝都近くの森を頭にイメージし、身体から放たれる白い光を意識しながら目を瞑る。

そして身体が浮遊するかのような感覚の後、地面に足が付いた。

「毎度のことながら結構怖いわね。帝都行きの馬車に2週間も軟禁されてたら仕事が終わらないからしかたないけど。」

そんな小言を言いながら帝都のバートン博士の研究所に向かう。


そして研究所についてバートン博士から一言「新しい遺物は仕入れてるか?」と。

「ありません。そんなことより早く遺跡調査のことを」

「ああ待っててくれ、今書類を出すから」

そう言い奥の部屋に行ってしまう。

研究所の当たりを見渡すと様々な魔導具の失敗作が散らばっている。

バートン博士は古代魔法王国の遺物を研究し、新たな魔導具を生み出す研究者だ。

100年戦争時には人を一撃で殺せる『銃』というのを開発したそうなのだが、魔法使いにしか扱えない上に魔力装填に大量の魔力を消費して一人一発撃てるかどうかといったものだ。

本人曰く、「改良するのはまたその道の人がすべきだ」とのこと。

とても50歳近い年齢と思えないほどの発想力と生命力であるが研究のこと以外は全くダメなそう。

そうこうしているうちに博士が奥の部屋から書類を取って戻ってきた。

私は書類を受け取り早々、遺跡調査に向かう。


遺跡に入り私は驚いた。

古代魔法王国時代のものにしては最近出来たかのような美しさが保たれていて、劣化を思わせるようなものは一つもない。極めつけは明かりの出る天井。博士から貰ったランタンの魔導具が必要ないくらい明るい。

そうして歩いていく内に最奥の部屋にたどり着いた。そこには不思議なものがあった。

一番最初に目に入ったのは石像だ。翼の生えた女性が祈りを捧げる後ろ姿が見える。

その奥には壁画が見える。黒い太陽のようなものに祈りを捧げる翼の生えた人。その後ろには天災に慌てふためく人々が描かれている。

私はその光景にしばらく動けないでいたが、ふと石像に目をやると違和感がる。何故壁画の方に祈りを捧げているのか。そして壁画に比べると、人がそのまま固まったかのような精工さがある。

私はその違和感を確かめようと石像に触れると、石像から眩い光が溢れ出す。思わず距離を取り眩しさの余り目を瞑る。

幾分かの時が過ぎ恐る恐る目を開けると、石像がなくなり替わりに人が倒れている。

私は驚きつつも駆け寄り安否を確認し、介抱の為に力を使い王都に一旦帰ることにした。

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