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 ミーアキャットのランナー達は、今は揃ってセーフハウスに籠っているらしい。

 日常の生活に戻らず、普段の拠点でもなく、非常用のセーフハウスを使うって事は、彼らは襲撃の可能性を予測している。

 恐らくは紅夜叉会と揉めたせいで、輸送車両を襲撃して手に入れた品をまだフィクサーやクライアントに引き渡せていないんだろう。


 セーフハウスは、央京シティでも中心部からは遠い、あまり裕福ではない層が暮らす地区にある、古くて小規模なマンションの五階だ。

 ミーアキャットはその最上階である五階を貸し切って、全体をセーフハウスとして使用しているらしい。

 確かに、ここは普段使いには不便な場所だが、身を隠すには悪くない。

 尤も紅夜叉会が抱えるハッカーの捜索からは、隠れ切る事はできなかったみたいだが。


 ただ五階の全てを貸し切っているというならば、防衛を有利にする罠の類は、豊富に仕掛けられていると考えるべきだろう。

 無策に正面から突っ込めば、不覚を取る可能性があった。


 僕は、もう一度端末に視線を落とし、ミーアキャットのランナー達のプロフィールを確認する。

 電脳化をしていれば、わざわざ端末を見なくとも、思考をするだけで必要な情報を把握できるそうだけれど、残念ながら自己強化能力者である僕は、電脳化ができないそうだ。

 自己強化能力者に限らず、超能力者は皆そうらしいが、生身の脳の出力が強すぎて、電脳を破壊してしまうのだとか。

 或いは無事に電脳を入れられたとしても、その代わりに超能力が失われたりもするという。


 電脳が便利な物だという事くらいは僕にだってわかるけれど、自己強化能力と引き換えにする程かといえば、もちろん答えはNOだった。

 まぁ、それはさておき、ミーアキャットのランナー達だが、非戦闘員が二名に、戦闘員が三名。

 非戦闘員の一人は元は企業のエリートで、権力闘争に巻き込まれ、企業を追われて裏の世界に入った人物。

 高い交渉力と幾つものコネクションを持っていて、ミーアキャットのリーダーだ。

 分類の上では非戦闘員にはなるけれど、恐らく銃での援護射撃くらいはしてくるだろう。


 次に非戦闘員の二人目は、後方支援の要であるハッカー。

 ひょろ長の青年で、腕っぷしは弱そうだが、ハッカーとしては実力者らしい。

 とは言っても、セーフハウスを突き止められている時点で、紅夜叉会のお抱えには劣るのだろうけれども。


 戦闘員の一人目は、機械化兵。

 得手とするのは近接戦闘。

 高性能な防弾スキンと、サイバーウェアで強化された身体能力で距離を詰め、超硬度ブレードで敵対者を叩き切るという、非常に攻撃的なスタイルだ。

 ミーアキャットのリーダーとは企業時代からの相棒で、同時に親友って関係らしい。

 恐らくこの機械化兵が、ミーアキャットでは一番強い戦力だろう。


 戦闘員の二人目は、こちらも機械化兵ではあるけれど、得手とするのは一人目と違って銃撃戦。

 恐らく、僕らのチームのリーダであるギュールに近い戦い方をするんだと思う。

 実力でギュールに勝る銃手である事は考えにくいが、しかし地の利は相手にあるから、地形を活かして戦われたなら、結果がどうなるかはわからない。


 最後に戦闘員の三人目は……、超能力者。

 僕と然して年の変わらぬ少女だが、強力な念動力の使い手で、輸送車両への襲撃では、彼女が念動力で車両を掴んで止めたという。

 なんというか、随分と恵まれた能力の持ち主で、実に羨ましい話である。


「今回は、リーダーと超能力者は生け捕り。どちらも使い道があるからね。リーダーを懐柔する為に、ブレード使いも生け捕りにしたいところだけれど、難しいと思うし殺しても構わない」

 端末に目を通し終えたところで、ギュールが僕と他のチームメンバーに、指示を出し始める。

 あぁ、超能力者も生け捕りか。

 それは少しばかり厄介だ。

 殺すだけなら方法は幾らでもあるけれど、武装解除ができない超能力者は、無力化をするなら意識を狩るか、心を徹底的に圧し折るしかない。


 そしてそういう指示が出るという事は……、

「超能力者は、シュウ、君が捕まえるんだ。能力者には能力者。君の実力と精神力なら、少しばかり能力に恵まれただけの少女なんて、花を摘むように捕まえられるさ」

 やっぱり、僕が超能力者の担当か。

 どちらかといえば、僕はブレード使いの機械化兵の方に興味があるんだけれど、我儘を言える立場でもない。

 尤も、僕は花を摘んだ経験なんてないから、それがどれ程に簡単なのか、或いは意外に難しいのか、さっぱりわからなかったけれども。


 突入時には、紅夜叉会のハッカーがこの辺りへの電力供給を遮断するそうだ。

 これで幾らかは、ミーアキャットのセーフハウスに仕掛けられている事が想定される罠の脅威が減じるだろう。

 非常用の発電機を所有していたとしても、個人が、或いは小規模な集団が用意できる程度の設備では、電力供給の切り替えには幾らかの間が生じる筈。


 他にも色々と、突入時に留意すべき事を聞きながら、僕はふと、ギュールの最初の言葉を思い返す。

 敵は容易い相手ではなく、拠点に籠って罠もあるが、こちらのチームにも負けず劣らずの人員は揃ってて、更に突入時のサポートまである。

 何よりも、ただ相手を殺さずに倒して捕まえるだけで、難しい判断を迫られて、それを誤ればどうにもならないって訳でもないのだから。

 確かに今回の仕事は、ギュールが言った通りに、簡単な部類で間違いがなかった。




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