表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろう系がアニメになるのは人気だから?いやいや、金目当てっしょ という話

作者: いけなミ ゴろう


良いアニメを作ろう。


そう考えた時、必要なのは良い原作を選ぶことではありません。

必要なのは時間と金です。

製作時間の確保も金の問題とすれば、究極的には金が全てです。

時間と金さえ掛けられれば、大抵のものは良アニメになります。


鬼滅の刃の序盤はジャンプ連載時まったく人気がなくて、かなりの人達が打ち切りになるだろうと予想してたのは有名な話です。

が、その部分までアニメになると大人気になりました。

漫画、アニメ、小説と、メディアが変わると評価もガラッと変わる、というのはよくあることです。


しかし、全ての作品に予算をガッツリ準備出来るかというと、そうでもありません。必ず低予算の枠は存在します。

そして、高予算でアニメを作れば必ず儲けに繋がるかというと、これまたそうでもありません。

初期投資が多ければ多いほど、回収する金額も多くなければ利益になりませんから。

理想としては「低予算で大ヒット」なんでしょうね。



いくら原作が良くても、予算が少ないアニメ化は結構な確率でコケます。

アニメのあまりの酷さから「エクソアーム」とまで揶揄された某作品などがいい例でしょうね。原作は絵も話も良かったのに。


また、評判が良いラノベだからとアニメ化したら盛大にコケた、ってのもよくある話です。

「スパイ教室」とか、「探偵はもう死んでいる」とか。


とまぁこんな風に、成功が最低条件になってるような高予算アニメはともかく、中~低予算枠のアニメ化は博打要素が強いわけです。

逆に博打で勝つこともあって、たとえば「このすば」は制作当初まったく期待されてなかったそうですよ。

ユルい内容と低予算枠特有の手抜き作画が奇跡のマリアージュを起こして、制作サイドも驚くほどのヒットになったとか。


さて、そうなると、中~低予算枠に使う原作はどんな作品がいいでしょう?


自分が出版関係の人間だとして、良い物を作ろうとか考えずただひたすらに金儲けだけを考えるならば、そりゃあ間違いなくなろう系一択ですよ。

なんだったらアニメ制作の予算もわざと削りに削って、半ば意図的に作画崩壊を誘発させるかもしれません。その方が絶対話題になりますし。

悪名は無名に勝る、というヤツです。


アニメはアニメ単体で制作費の回収を考えてるわけではなく、アニメ化に伴って書籍や漫画、関連商品を売るという宣伝の意味もあります。

原作が人気なもので、これは絶対当たるという確信があるならそれを推すのもいいでしょう。

でも、何が正解か結果が出るまで分からないなら儲けが多いものを、関連商品の製作コストが1円でも安いものを選んだ方が得です。


そう考えると、まともなプロ作品より印税率や原稿料が低く、編集作業も適当でいいなろう系はメッチャ魅力的な商材だと思いませんか?


印税率や原稿料が低いってことは、出版社の取り分が多いってことです。

当たりハズレが読めない状態で、印税率・原稿料が高いプロ作品と印税率・原稿料が低いなろう系作品のどっち選びますか?

ってなると、金目当てなら間違いなく後者でしょうね。


また、今のアニメ制作はパチンコマネーに支えられている部分もあります。

そのため、版権をパチンコ業界が利用することを容認出来る原作者の作品の方が選ばれやすい、という側面もあるでしょう。


この面でもなろう系は優秀ですよね。

なろう作家ならパチンコやスロットが嫌いでも金のために版権の許可を出しそうですし、力関係もなろう作家の方が明らかに下だから出版社の意向に逆らわないでしょうし。


かなり有名なのに全然パチンコやパチスロに版権が流れない、って作品の原作者は、パチ関係が嫌いって人が多いというのは有名な話です。

代表格は鳥山明先生ですね。

まぁ出版社相手にでも「ノー」と言うには、かなりの実績が必要でしょうが。


近年のジャンプ系は少年誌としてのイメージのためパチンコマネーとは距離を置いている、という話もありましたが、呪術廻戦がスロットになるという話から結局は作者の意向が強いんでしょう。

芥見先生は多分パチンコ・スロットが好きですからねw

思いっくそパチンコ演出の能力を使うキャラを作ってるくらいですしw


さらに言うと、アニメ化が失敗した時のリスクが少ないのもなろう系の利点です。


ある程度の実力がある漫画家・作家だと、いざという時に自力で別出版社に移籍したり出来るんですよ。

有名な話だと、「しろくまカフェ」という漫画がアニメになった時のエピソードですね。

この作品を書いてた漫画家さんはアニメ化の際に出版社からあまりにもいい加減な扱いを受けたそうで、それを切っ掛けに作品ごと別の出版社に移籍することになりました。


先に書いた「エクソアーム」こと「エクスアーム」の作者さんも、アニメ放送中に原作の方を打ち切りのように終了させましたね。

これについては詳しい話が出ていないので予定通りの終了だったのかもしれませんが、アニメやってる最中の終了はかなり怪しいと当時話題になったものです。


その点、なろう系だとこういった心配はいらないと思うんですよね。

だって、雨後の筍の如く次々湧いて出てくるんですから、ダメだったら次を拾えばいいだけでしょ?

出版社からしたら、なろう系なんて「いくらでも代わりがいるもの」という認識しかないと思いますよ。

アニメが当たれば、その作者はそれなりの扱いしたらいいだけですし。


そういったリスク管理の面を含め、なろう系は扱いやすい素材ですよね。



商売の基本は「安く仕入れて高く売る」です。

その幅が利益になるわけで、当然ですね。


ですが、利益を多く求めると、儲けの多さに比例して信用を失います。

たとえば原価100円の物を1000円で売ってると知ってしまったとすると、多くの人はどうしても「守銭奴がっ!」と感じるでしょう。

流通コストとか間にかかるコストがあったとしても、原価の二~三倍が普通ですから。


そして、信用問題においてもう一つ大事なのが品質ですね。

性能、安全性、サービス業だとサービスのクォリティとか。


高品質の物も低品質の物も、客がその品質に見合った値段だと納得出来れば信用は落ちません。

このラインは個人個人の感性や財布事情にもよりますけど。


ただ、低品質低価格の物は瞬間的な信用は落とさない代わりに、絶対的な信用は常に落とし続けてるんですよ。

分かりやすい例が「メイド・イン・チャイナ」ですね。


10年使えるが10000円の商品。

1年で壊れるけど1000円の商品。


結論からすると、この二つの商品の価値と信用は同じです。

どちらを選ぶかは各々の感性やライフスタイルで決めることですね。

一つの物を長く大事にするも良し、壊れたら次と気軽に使い潰すのも良し。


だけど、後者の方が前者と同じ「高品質高価格の商品」を作ったとしたら、どう感じますか?

俺は正直「信用出来ねー。前者の商品買うわ」です。


これが絶対的な信用の差で、信用とは積み重ねの結果なわけです。

で、なろう系の多用は、この絶対的な信用をガンガン落としてる気がするんですよね。


海外のアニメサイトを見れば分かるんですが、ここ近年のアニメは全体ランキングの下の方に位置するものがほとんどです。

そりゃ一年の内に数作くらいは上位の方にくるアニメも出てはいますが。


新作アニメがランキングの下の方に潜るということは、海外でも「昔のアニメの方が面白かった」と判断する人が多い、ということですよ。

そらそうなるだろな、としか思いませんけど。

まぁ、ファンタジア文庫大賞作品のアニメ化はほぼコケる、と言われているくらいラノベ原作のアニメって評価悪いことが多いんで、ラノベ的なモノ全体の問題かもしれませんけどね。



最初に見たアニメが低品質のもので、見た人が「なんだ、日本のアニメってこんなものか」と思ってしまうと、その人はファンにならず離れていくかもしれません。

低品質のものが増えれば増えるほど、当たり判定も広くなりますね。


一度信用を失えば、その時になって焦っても挽回には長い時間が必要になります。

質が低いものを作るというのは、そういったデメリットを抱えているわけですね。


日本は品質の高いものを作る国。

そんなのはもう過去の話なのかもしれませんね。

そう感じる一端でした。


おわりー。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >日本は品質の高いものを作る国。 >そんなのはもう過去の話なのかもしれませんね。 今後私のような日本文化好きの海外オタク生まれないかもしれない。
[一言] 質からガチャへ。それが令和。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ