夏の海に訪れて
いつもキミの方から声をかけてもらってた
あの夏の記憶を大切に思ってた僕を思い出したとき
海に近い僕の家の近く
キミはこの場所から見える海がとくに好きだと言って
この時期、
毎週のように時間を選んでは、やって来た
『今日は用事があるから一緒には見れないんだ・・』
僕が申し訳なさそうにそう言うと
キミは「それでいいよ」と
自転車の背中越しで言いながら
僕に大きく手を振った
少し大きめのシャツはキミの特徴
風になびく姿を見るのが
僕が好きなひとつの「場所」となった
いつの日か
この海が見える場所で
キミが大人になった姿を想像してた自分を思い出した
好きだったアイスクリームを
僕の分までいつも用意して
海に向かう公園の木陰で食べてた時間
恋の話はキミから
何もなかったけど
ときどき見せた大人びたキミのまなざしを
僕は特別な思いで見てた、あの夏の日