ってどうやって異世界スキル使うねん
「きゃー、助けてひったくりー」
人がスライムのように沸く都会で、女の子が叫ぶ。
僕は「ウインドカッター」と呟き、手のひらに魔法陣を展開する。
すると、ひったくりがカバンを持つ右手は、逃げる方向とは真逆に引っ張られ、強い風が吹いた。カバンは女の子の元へ落ち、僕はその場から立ち去った....。
眺めがいいテラスで、読書をしていると
「このくらいの柴犬を見なかったかのう。逃げてしまったんじゃ。」とおじいさんが困っている。
僕はヒトガタを飛ばし、本を閉じる。
「サーチ」と呟き、半径500メートル圏内の柴犬を特定した。
ヒトガタはその柴犬にくっつき、柴犬は飼い主の元へ進む。
おじいさんは、喜んでいた。
僕は支払いを済ませ、店を出た....。
『プロローグ』
僕は転生者。と言いたいところだが、そうではない。
ただの陰キャ男子高校生だ。勉強は卒業まで履修済み。
部活は年に2回の活動があるボランティア部。感謝されるのが好きだから入った。
目立つことがあまり好きじゃいので、いまも1人図書館でお昼を食べている。
図書館はクラスの陽キャが騒ぐ動物園とは違い、とても落ち着く。類は友を呼ぶと言うように、他にも数人1人でご飯を食べている人たちがいる。
僕の高校生活はとても退屈である。
しかし、そんな中僕の心を退屈させないやつがいる。
そう!それこそが「異世界無双ライトノベル」だ!
異世界という非現実的な設定で、爽快ファンタジーを味わうことが出来る、唯一至福の時間だ。
僕は中1でこの小説にハマり、中学は勉強で1位を取り続けていた。部活は才能がほとんどであり、勉強の方が効率がいい。
やはり1位を取り、テスト無双するのは気持ちが良かった。
しかし、勉強も飽きたので、高校では家の近くの偏差値50程の高校に通い、余裕で満点を取っている。模試では72前後を取っているので、もはや勉強をする必要がない。
そこで僕は異世界スキルを取得することにした。
具体的には、魔術、呪術、陰陽術である。
これらを駆使すれば、攻撃も、透視も、飛行も可能である。
これらを可能にするのは、僕の想像力だ。
、、、、そう、想像力だ。
君たちは馬鹿にしているだろう。
しかし、想像力を甘く見てはいけない。
人間の思い込みは、無限大である。
目隠しをした人に出血していると伝え、手首から水を垂らすとその人は、出血していないに、ショック死してしまった。
つまり、思い込めば実際に体験できるということだ。
これから語るのは、
僕が異世界スキルを使い現実世界で暴れ狂うという、
僕の妄想を含む物語である。