むかしばなし 2
「ムツヤ殿!! ムツヤ殿!!」
モモは泣きそうな顔をしてムツヤを揺さぶり起こそうとした、ユモトが頑張って木の杭を防いでいるがそう長くは持たないだろう。
「も、もさ、大丈夫でしたか?」
「大丈夫です、私は大丈夫ですから」
久しぶりの大怪我にムツヤは一瞬気を失いそうになったが、このままでは本当に死んでしまうとモモに指示を出す。
「モモさん…… これを抜いて、薬を」
モモよりもムツヤの方が冷静だった。モモはそうだと思いだして木の杭を抜く、血が溢れ出てるが止血よりも先にムツヤから渡されていた薬を飲ませる。
「パップア!!」
薬を飲ませた瞬間、短く奇声を発してムツヤは立ち上がった。傷がみるみる塞がっていくムツヤを見て怪物は驚く。
「なにそれ反則じゃない!?」
「久しぶりに死ぬかと思っだ……」
そう言ってムツヤはユモトの防御壁の前に飛び出る。木の杭を投げまくる少女とそれを素手ではたき落としまくるムツヤのにらみ合いになった。
やがてどこに仕込んでいたのかわからない量の杭を投げきってしまった少女は、ナイフを取り出してムツヤに斬りかかるが、手首をムツヤにガッチリと掴まれてしまう。
しかし、掴んだ手首はカサカサと枯れ葉になって散る。
「なんだごれぇ!?」
ムツヤが叫ぶと同時に、枯れ葉となって落ちた右手のナイフを左手で掴んで少女はムツヤの鎧の隙間から差し込もうとするが、それもムツヤは後ろに飛び退いて避けた。
「ムツヤさん、後ろの迷い木の怪物を倒せばその子も攻撃を辞めるはずです!」
「わがりました!」
ムツヤは手から何発か火の玉を怪物に向かって打ったが、それは黒髪の少女が全て体で受け止めてしまう。
「ヨーリィ!! 無茶をしないで!」
迷い木の怪物の言葉を無視して少女は戦い続けようとする。枯れ葉になって散った部分は自動で修復するのかすっかり元通りに戻ってしまった。
「ムツヤさん! その子はもう死んでいます、体だけを迷い木の怪物に操られているだけです!」
「死んでなんてない!」
ユモトの言葉に対して怪物は声を張り上げた。
そして、瞬間静寂が訪れた。次に迷い木の怪物が見たのは隙を見て飛び出したオークによって真っ二つに切られたヨーリィとこちらに突っ込んでくる男だ。




