訳ありの子 2
ムツヤもモモも黙ってゴラテの話を聞いていた。
「多分もうアイツは長くない、だからせめて1日だけでも良いから苦痛を感じさせないようにしてやりたいんだ!」
「探じましょう」
暗い空気を打ち破るようにムツヤが唐突に言葉を出して立ち上がった。
「そのユーカの実ってのを探せばいいんでずよね?」
そう言ってムツヤは目をつむり、スーッと息を吸い込んで横に両腕を伸ばした。するとムツヤの足元に魔法陣が浮かび上がる。
ムツヤは病気に効く果実を想像した。
「ムツヤ殿! サズァン様からの言いつけが……」
モモは小さく耳打ちをしたがムツヤは辞めようとしない。
「見えましだ、あっちです」
ムツヤが使ったのは周辺に自分が欲しいと望む物が近くに無いか探す魔法だ、ゴラテは驚いて目を丸くしていた。
「お前、本当に何者なんだ……? いや、聞くのはやめておく。それよりも本当にそっちなんだな?」
ムツヤはこくりと頷く。ムツヤの案内で2人は急いでその場所へと向かう。
そこは葉っぱが生い茂る森のなかにポッカリと穴が空いたみたいな、見晴らしのいい場所だった。ゴラテは周辺を探してため息をする。
「ユーカの葉っぱはたくさんあるが、実だけは動物が食ったか冒険者が持っていったか知らないがこの1つだけだ」
隠れるように実っていたユーカの実が1つ、他にもないかと3人は探し回ったが結局1つだけだった。
日が暮れた後の山は危険なのと、ユーカの実が早速傷みだしているので3人は下山する事にする。
「推薦状は書いてやる」
帰り道の途中でポツリとゴラテは言った。しかしどうしてだろうか、あれほど欲しかった推薦状なのにムツヤは素直に喜べなかった。
「探しましょう、明日も明後日も」
ムツヤがそう言うと振り向かないまま疲れ切った背中を見せてゴラテは言う。
「悪いな、本当に感謝する」
ゴラテが推薦状を書いてやるから家に来てくれと言い、2人はゴラテの家へ寄り道をすることにした。
「ユモト帰ったぞ」
ゴラテは玄関を開けるとそう言ってランタンの火を掲げた。寝室で横たわっているのは華奢な体をした色白の人間だった。
毛先がくるくるとした髪を肩に付くぐらいに伸ばしている。髪色は茶色に緑を少し混ぜた様な感じだ。年はムツヤと同じぐらいだが、ずいぶんとやつれていた。




