身分証明 7
「ムツヤ殿、明日は早いですし夕食を早めに食べて寝ることにしませんか?」
「わかりましたモモさん」
とりあえずモモは問題を先送りにした。夕食も食べ終え、宿屋の小さな風呂で汗を流した。夕日が完全に沈んだ頃に二人は部屋に戻る。
「とりあえず、私は床で寝ますのでムツヤ殿はそちらのベッドをお使い下さい」
モモは床で寝ることを決めていたが、ムツヤはそれを聞いて驚く。
「いやいや、それだっだら俺が床で寝ますよ。モモさんに悪いですし……」
モモはムツヤの思いやりは素直に嬉しかったが、今の自分はあくまで従者だと思い直す。
「今の私はムツヤ殿の従者ですよ? 主を床で寝かせるなんて事はできません」
そんなやり取りが何回か続いた時にムツヤが遂に別の案を出した。
「それじゃあこのベッド大きいですじ二人で使いませんか?」
それを聞いてモモは顔が赤くなる。ムツヤはきっとただ単純に休みを取りたいだけだと分かってはいるのだが……
「……わかりました、では背中合わせで寝ましょう」
それを聞いてムツヤは笑顔を作る、二人はベッドに入り部屋の明かりを消した。
ムツヤは背中から感じるぬくもりが心地よかった。気のせいか石鹸の香りに混じって甘い匂いがモモからしている。
モモはと言うと心臓がバクバクして必死に素数を数えて落ち着こうとしていた。
親や妹以外と同じベッドで寝るなんて初めての経験で、しかも相手はムツヤだ。
「あの、ムツヤ殿は本当にあの男の言うことを信じるのですか?」
気付いたらふとそんな質問をしていた。モモはゴラテの言っていた冒険者の推薦状の事を調べておいたが、確かにそれは事実だったが。
しかし、あの男が信用に足るとは思えない。
ムツヤからの返事はなく、まさかと思いそっと顔を覗き込むとムツヤはもう寝てしまっていた。
少しだけ笑いがこみ上げてきて、その後はムツヤの寝顔をちょっとだけじっと眺めていた。
さて自分も寝るかと思った瞬間にそれは起きた、寝返りを打ったムツヤがモモの背中に触れるか触れないか辺りまで近づいてきたのだ。モモは頭が真っ白になる。




