身分証明 6
「よし、それじゃ取っておきの方法がある。とある森にある『ユーカの実』を俺と一緒に、1ヶ月だけでいい。探す手伝いをしてくれたら推薦状をやろう」
モモは聞いたことがあった。ユーカの実は万病に効く言われている。それも伝説などではなく実在するらしいが本物は見たことがない。
「冒険者としての経験にもなるし悪い話じゃ無いとは思うんだがな」
「それで、それでお願いします!」
ムツヤの中ではユーカの実を探すことはもう決定事項らしい。モモはため息が出そうになるが、自分は従者だと言い聞かせムツヤの意見に同意することにした。
「ムツヤ殿がそう言われるのであれば、わかりました」
「決まりだな、明日の5時にこのギルドの入り口に集合だ。ユーカの実が出来る時期は決まっていて、痛みが早いから幻の実って事になってるんだ。俺の調べた秘密の場所ではここ数日で実が成るはずだ」
そう言い終わった後にゴラテはムツヤに手を差し伸ばして来る。
「改めて、俺はゴラテ・サンドパイルだ。よろしく頼むぞ」
ゴラテのさっきまでの怪しい雰囲気が急に消え去り、面倒見の良さそうな中年の様になる。何か絶対に裏はあるにせよ、それでモモの警戒心も少しはほぐれたようだった。
モモとムツヤは宿屋へと戻った。そこで新たな問題に直面した、というよりは思い出した。この部屋にはセミダブルのベッドが1つだけしか無い。
宿屋のグネばあさんにもう一つ部屋を借りようとしてみたがどこも満室だよと断られる。
「なんだいあんたら、恋人どうしならいいだろう?」
「だーかーらー! それは勘違いでムツヤ殿とはそういう関係ではない!」
「どっちにしろ良いじゃないかい、細かいことは」
ヒッヒッヒと老いた魔女みたいにグネばあさんは笑ってまた二人を出迎えた。
「いや、おばあさん。オークと人間は恋愛をしないらしいですよ」
ムツヤがフォローに入るが、より大きくグネばあさんは笑って返す。
「愛があれば種族も年も関係ないんだよお兄ちゃん」
「そうなんでずか!?」
「もう良いから部屋へ行きましょう」
そう言ってモモはムツヤの手を引いた、部屋に入るとまたセミダブルのベッドが出迎えてくれた。




