身分証明 2
正直に話したらサズァンの言う通り良からぬ輩に目を付けられるだろう。ここは言葉を濁しながら話すことにする。
「こちらのムツヤ殿は異国の地から来たのです」
「それでしたら外国人登録証をお持ちですか?」
決して嘘は言ってないが下手なことは言うものじゃなかったと頭を抱える。
このままでは冒険者としての登録どころか不審人物としてムツヤ殿が目を付けられてしまう。どうしようかと考えていると後ろから声が掛かる。
「なんだ、お前冒険者になりたいのか?」
大柄で立派なヒゲを蓄えた男がそこには居た。種族は人だがその見た目は背の高いドワーフと言われてもおかしくはない。
「ゴラテさん……」
受付嬢があまりいい顔をせずにその男の名前を呼んだのをモモは見落とさなかった。理由はわからないが、いい話にはならない気がする。
「まぁ、困ったことがあったら俺に言いな。悪いようにはしないからよ」
モモは返事をしなかった、いくらなんでも胡散臭いというか、なるべく関わり合いになりたくないタイプの人間だ。しかしムツヤは違う。
「本当で」
モモはまた後ろから抑え込むようにムツヤの口を抑え、そして男に言った。
「いや、結構だ」




