邪神サズァン 4
森を抜けると、昔ながらの藁葺き屋根の家が見えた。
その家の前に出ている者を見て勇者達は驚く。
「あれは、アラクネに……。迷い木の怪物か!?」
イタヤがそう言って剣に手を掛けるも、すぐさまムツヤが前に立ちはだかる。
「あのアラクネさんとマヨイギさんはいい人です!!」
「人っていうか、魔物だがな。でもまぁ、危害は加えてきませんよ」
アシノの言葉に半信半疑だが、勇者達は武器を仕舞う。
「ヨーリィ!!」
「マヨイギ様」
マヨイギがこちらを向いてヨーリィの存在に気付く。勇者一行は警戒しながら近づいていった。
「な、なんだお前らは!!」
ノエウは見慣れない人間たちを怪しむが、見覚えのあるムツヤ達を見て少し安堵する。
スタスタと歩いてやって来たヨーリィをマヨイギは抱きしめていた。
「無事で良かった……」
そんな光景を見ていると、家の中から老人が出てくる。
「じいちゃん!!」
「ムツヤか」
そのやり取りで、皆はムツヤの祖父である事を察した。
「ムツヤっちのおじいさん!?」
「ムツヤ殿のお祖父様か……」
「じいちゃん!! 何で田舎が王都の近くに!? サズァン様は!?」
聞きたい事は山ほどあったが、まず最初に出たのはそんな言葉だ。
「ムツヤ、結界が壊れたんだ」
「結界が!?」
いくら裏の道具を使っても壊れなかったあの結界が壊れたという事にムツヤは驚く。
「それで、サズァン様は!?」
「塔の最上階にきっと居る」
そんな会話をアシノが遮って尋ねる。
「申し訳ありません。私は勇者アシノと申します」
「ワシはムツヤの祖父のタカクです」
「タカクさんですか。あの邪神サズァンについて知っている事をすべて教えてほしいのですが」
そう言うと、タカクは目を瞑り、開いてから話し始めた。
「邪神サズァン様はあの塔を千年守っています。それしか、今は話すことがありません」
まだ大事なことを隠していそうなタカクだったが、アシノは納得するフリをした。
「そうですか。後は直接、邪神サズァンに聞くしかありませんね」
アシノの言葉にタカクはゆっくりと頷いた。そんな時だ。勇者達は魔物の気配に気付く。
空には赤いモスモスが、地上には見たことのないカニの魔物、紫色のゴブリンが、塔の方角からやって来た。
タカクは空に手をかざし、雷を打ち出してモスモスを丸焼きにする。圧倒的な魔法に勇者パーティーの魔法使い達は目を丸くした。
「塔から魔物が溢れ出している。ワシひとりではもう抑えきれません」
「そうか、じいさん分かった。アシノさん!! 俺達は魔物を倒したほうが良さそうだ。アシノさん達は塔へ行ってくれ!!」
「えぇ、頼みました! 行くぞお前ら!!」
その掛け声と共にアシノ達は勇者達を振り返らずに塔へと走り出す。




