はじめての武器屋 10
『ギルスウドパンゼ』
ギルスのいい武器屋という意味だ。
いい武器屋を名乗る割にはこじんまりとして、お世辞にも繁盛しているとは言いにくい。
武器屋には大きく分けて2種類あり、1つは鍛冶場を持っている大きな武器屋。
そして、もう1つは武器を仕入れて売り買いする仲介屋に近いこの店のような小さな武器屋だ。
ドアを開けるとカランカランと心地よいドアチャイムの音が迎えてくれた。
それとは対照的に気だるそうな男の声が聞こえる。
「あーはいはいお客さんチョット待ってねー」
よっこらせとカウンター後ろの部屋から男が出てきた。
サズァン程ではないが少し色黒の肌で金髪、額にはタオルを巻いている。
「お、モモちゃんじゃなーい、どうしたの? また剣でも研ぎに来たの? ってもしかしてそっちの子彼氏?」
「ば、馬鹿を言うなギルス!! こちらはムツヤ殿だ、訳あってこの方の旅の従者としてお供をしている」
モモがそう言うとふんふんとギルスは腕を組んで頷いた。
「わかる、ヒジョーにわかるよモモちゃん。しかしあの一匹狼のモモちゃんを惚れさせて従者にするなんて相当やるな君は」
「いい加減にしないか馬鹿者!!」
モモが顔を赤くしてそう言うと、悪かった悪かったとギルスは謝り、改めてムツヤに自己紹介をする。
「ようこそギルスのいい武器屋へ、俺は店主のギルスだ」
ギルスはそう言ってムツヤに近付き、握手のための手を伸ばす。男はムツヤより少し背が高い。
「こ、ごんにぢは始めまじで! お、私はムツヤと言いますよろしくおねがいします!」
握手のための手を完全に無視し、ムツヤは深々と頭を下げたのでギルスは肩透かしを食らってしまった。
「ムツヤ殿、こういった時は手を握りながら挨拶をするのです」
そう言われると慌ててムツヤはギルスの手を握って、お辞儀をする。
腕を引っ張られてギルスはバランスを崩す。
「す、すんません、俺田舎育ちで……」
「あー良いって良いって、大事なお客さんだもの」
ギルスは笑顔を作ってはいるが、目線はムツヤが片手に握り締める剣に止まっていた。




