はじめての武器屋 9
「まずはその剣を売りに行きましょうか、良い武器屋は知っています。少し店主の性格に難はありますが……」
街道の人目が無い時にカバンから取り出して持ち歩いていた1本の剣、これを売ってムツヤは冒険のための金策をする。
大通りにはきらびやかな武器がずらりと並んでいた。しっかりと磨き上げられた剣や鎧から、フトコロ事情の良くない者の為の質素な物までだ。
そんな大通りを素通りして裏路地へモモは行ってしまう。ムツヤは不思議に思うが黙って付いていくことにした。
「モモさんあっちの店じゃダメなんですか?」
「えぇ、ムツヤ殿はこの街が初めてで、私はオークですから。値段の付いている商品を買うなら良いですが、売るとなると足元を見られると思います」
足元を見られる? ムツヤは首を傾げた後に自分の靴を、次にモモのブーツを眺めてみる。それでモモは察する。
「申し訳無いムツヤ殿、足元を見られるというのは慣用句でして」
「え、かんよう? 何ですか?」
そうか、足元を見られるという意味を知らないのに慣用句という言葉を知っているわけがないとモモは反省した。
ムツヤは馬鹿ではないが、人との関わりが無かったため常識がところどころ欠けている。
それは仕方のない事なので少しずつ自分が教えていこうと思った。
「そういった事は後でご説明しますので…… とにかく通りの店ですと本来の価値よりも安く買い取られてしまう可能性があります。なので私の知っている武器屋に行きましょう」
なぜ安く買われるのか、『かんよう』と『足元』とは何か、ムツヤは疑問に思うことだらけだったが、ひとまずそれは後でモモに教わることにした。
大通りの賑やかな声が遠くになった頃に目的の店に着いたようだ、モモは足を止めて看板を見上げる。




