はじめての武器屋 3
「ムーツヤ、元気ー?」
長い銀髪と相対的な褐色の肌。
目の上のアイシャドウと唇、爪は紫で統一されていて毒々しさと妖艶さを演出している。
腰から床に垂れ下がる縦に切れ目の入ったスカートと面積の小さい布からはだけた胸元には2つの大きな塊。
裏ダンジョンの管理人であり、邪神の『サズァン』だ。正確に言うとその幻影である。
「あら、この前のオーク? もしかしてムツヤって他種族フェチだったの?」
緋色の瞳に見つめられたモモは恐怖を覚えた。
しかし、相手は何を考えているかは分からないが、少なくとも今は敵ではない。
「ムツヤ殿の旅のお供をさせて頂くモモと申す者です。失礼ですが名前を失念してしまいました故もう一度お教え頂きたいのですが」
ムツヤが話を始める前にモモが言う。
裏ダンジョンの邪神ということは覚えていたが、ドタバタしていたせいかうっかり名前を忘れてしまっていた。
「そうね、ムツヤの仲間なら自己紹介しておかなくちゃね。私の名前はサズァン、裏ダンジョンを管理している邪神兼ムツヤの保護者!! つまりムツヤのママかお姉ちゃんぐらいの存在よ!」
「ま、ママ?」
モモがそう言い返すとクスクスとサズァンは笑って今度はムツヤに語りかける。
「あーのねームツヤ? 確かにそのカバンの持ち物はあなたの物だけど、それを売るってのはダメよ?」
「え、どうじてですかサズァン様」
ムツヤはアホ面でそんな答えをした。
それが子犬のようで愛くるしく、抱きしめて頭をわしわしと撫でたくなるがサズァンは冷静さと威厳を取り繕う。
もっとも幻影では邪神と言えどこちらの世界の人や物に触れることは出来ないのだが。




