襲撃者 2
モモの職業は猟師兼この村の警備だ。
モモは流石に力のぶつけ合いでは負けるが、剣を持たせればこの村の戦士として戦うオーク達の中ではかなりの実力者だった。
そんなモモが今この村を離れるわけにはいかない。
「そんな事情があるのでしたら待つのは良いんですけど…… そうだ、その犯人がわかれば良いんですよね? それじゃあ俺も手伝いますよ」
ムツヤの提案にモモは目を丸くする。その提案は嬉しいものだった。
「それはありがたいのですが、これ以上ムツヤ殿にご迷惑をお掛けするわけには」
心の何処かでまだムツヤに助けを求める卑しい気持ちが無かったわけではない。
だがここまで簡単に快諾されてしまうとやはり申し訳ない気持ちが出てくる。
「良いんですよ、このまま放っておけないし」
そうだ、ムツヤには放っておけなかったし、犯人が何を思いこの様な事をするのかが知りたかった。
この村のオークに、少なくともモモとヒレーに何か非があるとは思えない。オークを助けたいし、何故こんな事が起こるのかを知りたい。そう思った。
準備を整えてムツヤが外に出ると、日が登ったというのに外に出ている者は少ない。
モモによると襲撃があったため警備以外の用事がない者は外に出ないようにしているらしい。
その警備も森の中や高台等で監視をしているので、村の中心にはオークが少ない印象を受けた。
そんな中、一人のオークが乱暴に声を掛けてきた。ムツヤを、人間を敵視している例のバラという名前の母親を殺されたオークだ。
「おい!」
「何だお前か」
モモは面倒臭そうにそう言った、バラが人間という種を憎む気持ちは分かるし自分もそうだった。
しかし、ムツヤへの非礼は許すことが出来ない。
「お前、オークの男に相手にされないからって…… まさか人間の男とくっつきやがるなんてな」
バラは鼻を鳴らしながらモモを小馬鹿にしてそう言う。
てっきりまたムツヤに喧嘩を売りに来たものだろうと考えていたモモは、想像とは違う発言に頭の切り替えが追いつかなかった。




