お掃除クエスト 5
ムツヤは魔剣ムゲンジゴクをカバンに収めて、代わりに水色の鞘の剣を取り出した。その剣を抜くとガラスのような透き通った刀身が現れるが、その薄っぺらい剣を見てアシノは不安を覚える。
「それで本当に大丈夫なのか?」
「えーっと、多分大丈夫です」
ムツヤは魔法壁を軽々と飛び越えて、仮面の男と対峙する。男は叫び声を上げながらフライパンを振り下ろしてきたが、それをムツヤは透明な刃で受け止めた。
瞬間、ジュワーッと白い煙がフライパンと刃の間で生まれる、男が気を取られたその一瞬の隙にムツヤは腹に蹴りを入れる。
男はフライパンを落として吹き飛ぶ。落ちたフライパンにムツヤは透明な刃を押し付けて温度を奪い取り、カバンに回収した。
「うっ、くそっ、フライパンがっ」
腹を蹴られた男は苦しそうに言った。その横では股間を打たれた可哀想な男がやっと立ち上がる。
「引くぞっ」
そう言って2人は林の中に消えていった。勿論それをやすやすと見逃すわけはなくアシノはワインボトルのフタをスッポーンと飛ばし牽制し、ヨーリィもそれに続きまた先程のように木の杭を投げつける。
「轟け、雷鳴よ!!」
ユモトもそう叫んで男たちに雷を撃ち込んだが手応えは無い。林の中にヨーリィが走って男たちを拘束しようとするが右足を矢で射抜かれ、バランスを崩し倒れてしまう。
「ヨーリィ!」
思わずムツヤは立ち止まってヨーリィのそばでしゃがみこんだ。血は出ないが、代わりに射抜かれた所を中心に体が落ち葉に変わっていく。急いでムツヤはヨーリィに魔力を送った。
「申し訳ありませんお兄ちゃん」
「他にも仲間が居るかもしれない、深追いは危険だ」
アシノはそう言って追撃をやめる。ムツヤが探知スキルを使うと、確かに人が何人か居た。
「何人か居ますね…… わかりました」
ムツヤもそれに従い剣を収めた。林の中では先程の戦いが嘘のように静けさに包まれる。




