お掃除クエスト 4
「あ、あんちゃーん!!!!」
もう一人仮面を被った人間が林から出てくる。
「先手必勝ってな」
ひと仕事やり終えた顔をしているアシノの横でムツヤとユモトは思わず股間を抑えてガタガタ震えていた。
「きぃーさぁーまぁー!!!」
林から出てきた1人の男がアシノに向かって叫んだ。股間を撃たれた可哀想な男は今だにうずくまったままだ。
そして林から飛び出た男がアシノに向かって突き出したのは剣でも槍でもなく……
「なんだそれ」
アシノは呆れ気味に言った。男が構えているのはフライパンだった。それを見て皆が困惑する中、冷や汗が吹き出たのはムツヤだけだった。
「みんな、絶対にあのフライパンに触れちゃダメだ!」
ただ事では無さそうなムツヤの声に一瞬緩みかけた気がまた張り詰める。
「とにかく撃ち落としちまえば良いんだろっと」
そう言ってスッポーンスッポーンとワインボトルのフタを飛ばすが、それらはフライパンによって小気味よいカコンカコンといった音と共に弾かれる。
次に動いたのはヨーリィだ。木の杭を生み出し、男に何本も投げつけた。しかしそれらもフライパンによって明後日の方向へと弾かれてしまう。
「ダメでず! あのフライパンは手に持っていると飛んできたものを勝手に弾き飛ばしてしまうんでず!」
「なっ、加護の付いた道具ってことか」
それならばとアシノはワインボトルのフタを飛ばしまくる。フタの再装填される時間は約0.3秒だ。それに合わせるようにヨーリィも木の杭を投げ続けた。
だが、男は人間の出せる反応速度を超えた速さでフライパンを振るい続け、こちらに近付いてきた。そして弾かれたものにも変化が出ている。
コルク製のワインボトルのフタとヨーリィの杭がフライパンに触れた瞬間に着火し、火の玉になってこちらに飛んでくる。
「危ない!」
とっさにユモトは、魔法の防御壁を張った。
そして、ムツヤ達は下がり男から距離を取り直す。
「あのフライパン、握ってるとめちゃくちゃ熱くなるんですよね。でも自分で持っていると熱くないし火傷もしないんです」
「ありゃ熱くなるってレベルじゃねーだろ……」
フライパンからは熱気で薄い陽炎が見えていた。男は一歩一歩こちらに近付いてくる。
「俺が行きます!」




