ギルドマスター 2
仕方なしに鏡台の中に入っていた安物のクシで髪を梳かす。
ロビーへ向かうとすでにムツヤ達は集まっていた。
「すまん、遅れたな」
「いえいえ、大丈夫でずよ」
「おはようございますアシノ殿」
「あっ、おはようございます」
ムツヤ達はにっこりと笑って応える。ヨーリィはムツヤの手を握って小さく頷くように頭を下げただけだったが。
「これからこの街の冒険者ギルドの一番偉い、つまるところのギルドマスターに会いに行く」
「突然会いに行っても大丈夫なのですか?」
モモは疑問を口にした。ギルドマスター程の人物に面会の予約もなく合うことが出来るのだろうかと。
だが、赤髪の勇者として名高いアシノならばそのあたりの融通が効いても何らおかしい話ではないとも同時に思った。
「あぁ、その辺は大丈夫だ。私に任せておけ」
「すみません、迷惑をかけてしまって……」
ムツヤは申し訳なさそうに言うが、アシノは微塵も迷惑そうな顔をせずに返す。
「まぁアレだ、昨日はお前達に協力する義理はないなんて言ったが、仮にお前が昨日の事は内緒にしてくれと言っても、あの1件はアイツに会った時点で最初からギルドマスターには報告するつもりだった」
アシノは頭をかきながらバツの悪そうに言った。
「とにかくギルドへ向かおう、ここじゃ話をするには目立つしな」
確かに周りの目は悲劇の勇者に集まっていた。
ここで昨日の事をこれ以上話すのは得策ではないことがわかる。
アシノは宿のドアを開けて外へ出た。
ムツヤ達もその後を追いかけるように出ると眩しい太陽の光と活気のある街のざわめきが出迎えてくれる。
宿がある小道を抜けて大通りへと出ると朝市の屋台と人混みが見えた。
その中に紛れて冒険者ギルドへムツヤ達は向かった。しばらく歩くと目当ての立派な石造りの建物が見えてくる。
ギルド内は街中とは別の喧騒で賑わっている、深夜の依頼を終えた冒険者や朝から掲示板の前で依頼を吟味する者。
そんな人々の合間を縫って受付へと向かう。
「スミー、ギルドマスターに伝えたいことがある。会いに行っても良いよな」
「アシノさん? そういう事は書類を用意してですねー」
「別に書類なんか良いだろう、面倒だし」
スミーと呼ばれた受付嬢は、はぁとため息を漏らした。




