勇者と裏の住人 4
初めアシノは放心状態だった、こんな不思議なものがこの世にある事と、もしかしたら…… もしかしたら、これさえあれば自分はまた冒険者に戻れるのではないかという淡い期待があった。
「わかった。ムツヤこのビンを譲ってくれ。そうしたらお前達の今後について相談も手助けもしてやる」
「ありがとうございます! あ、あともう1本あるんで良かったらどうぞ。それと、そのビンは叩きつけても壊れないんでモンスターを殴るのにも使えるんですよ!」
アシノは両手にワインボトルを持つ、はたから見れば何をしているのか分からない光景だろうが、それは勇者アシノが復活を遂げた瞬間だ。
「感謝しておく」
バーに戻るとアシノは小さくそう言ってバーに戻った。
「それで、早速なのだが、この件は冒険者ギルドの幹部だけにでも伝えておいたほうが良いだろう。ムツヤが強いことは分かったが、個人では組織に勝つことはできない」
「あの、アシノ殿。それではムツヤ殿のカバンや道具がギルドや国に没収されてしまうのではないですか?」
しばらく黙り込んだアシノだが、重々しく口を開く。
「確かに、その可能性は無いとは言い切れない。だがこのまま私達だけで問題を解決するのは不可能だろう」
「元はと言えば油断をしていた俺の責任です。それに俺の道具で皆が助かるんだったらこのカバンもあげまずよ」
「ムツヤ殿…… 私が飲みになんて誘わなければこんな事は……」
モモは申し訳なさそうにうなだれた。しかし、それに対して意外にもアシノがフォローを入れる。
「最初から目を付けられていたんだろうな。遅かれ早かれカバンが盗まれるのは時間の問題だったと私は思うね」
そう言ってアシノは手をパンパンと叩いた。
「辛気臭く悩んでたってしょうがないよー、今日は私が奢るから飲み直そう。どうせ明日にならなきゃどうなるかはわからないってね」




