幼なじみ
●登場人物
○星崎叶多
主人公。中学三年生、身長一六五センチ。両親は共に亡くなっており、残してくれた家にアルテアと一緒に暮らす。
暦の上では一月だが比較的暖かで風も穏やかな小春日和となった今日。近所とは言え、こんな日の外出は気持ちがいい。深く息を吸い込んでみると、冷たくて新鮮な空気が一気に肺に充満した感じがする。
「叶多君、いらっしゃい」
玄関まで迎えに出てくれた女の子の名前は朝霧冬華と言う。雪緒おじさんの娘で僕の二つ歳下の幼なじみ。今は中学一年生の十三歳。身長は僕より少し目線が低いくらいだから、おそらく一五五センチくらいだと思う。トレードマークは肩にかかるツヤツヤで綺麗な黒髪。中学に入ってからは意識的に伸ばしてるみたいで、今は肩の下十センチくらいまで伸びている。
性格は分かりやすく形容できる。例えば……そう、歩く天真爛漫、服を着た無邪気、明朗快活に手足を付けた、そんな感じ。僕は恋愛感情の機微に敏感だとは決して思っていないが、彼女から寄せられている好意は分かりやす過ぎて、僕自身それを嬉しく思っているが、たまに混乱することもある。
そして、冬華は私服の時は僕のことを決まって『叶多君』と呼ぶ。学校では『星崎先輩』だが、彼女曰く『公私のけじめ』らしい。
普段の服装もおしゃれというより動きやすさ優先だが、今日もご多分に漏れずデニム生地のジャンパースカートを身に着けていて、上にカーディガンを羽織っているだけのシンプルな服装だ。そして、いつも垂らしている髪が今日は束ねられている。
冬華の家には少し広めの家庭菜園があって、季節の野菜が植えられているので、僕が尋ねる直前まで畑仕事でもしていたんじゃないかと思う。
「叶多兄ぃ、いらっしゃーーい。入ってー」
元気な挨拶と一緒に歓迎してくれてるのは冬華の弟の朝霧海斗だ。海斗は冬華より更に三つ下で小学四年生の十歳。僕のことを実の兄のように慕ってくれる可愛い弟分だ。それに宇宙飛行士に憧れていて、話も合う同志でもある。いくら季節にしては暖かめとは言え、まだ一月だというのに半ズボンなのは、さすが元気印の小学生だ。
「今日は何しに来たの?姉ちゃんへのプロポーズなら、返事はOKだけど、あと五年ほど待ってやってよ」
「こらっ!マセたこと言ってないで、友達のとこ行ってきなさい!約束あるんでしょ!」
「は~い」
いかにも朝霧姉弟らしい、いつもの会話を満喫すると、僕は冬華の部屋へと通された。
●登場人物
○朝霧冬華
十三歳。中学一年生。星崎叶多の幼なじみ兼彼女。朝霧雪緒の娘。趣味は家庭菜園。
○朝霧海斗
十歳。小学四年生。朝霧冬華の弟。将来の夢は宇宙飛行士。
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