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#2
王国に連れて行かれたセアちゃん(笑)は孤児院へと行くことになった。そこには魔王の侵攻により親をなくした子供達が集まっていた。当たり前だがセアちゃんはその光景を見ても何も思うことはなかった。
「当事者なら少しは罪悪感が……なんて甘い展開はないない。俺は元々魔王だぞ」
そう独り言を呟いていた。こうした独り言は非常に多く、数日立てば周りの子供達は彼女に近寄ることは決してなかった。
一ヶ月が経ったときには彼女は孤児院から抜け出していた。
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王国にある貧困街の地下水路で身を潜めていたセアは今自分ができることを考えていた。
「……人間って便利だな、魔王の頃より使える魔法が増えている。しかし暗黒魔法は当たり前だが全滅か」
地下水路に住み着く魔物を魔法で撃ち落としつつ考える。
「問題があるとすれば魔力の最大量か。魔王の時の方が今より100倍ぐらい多かったな」
ぐるぐると回りながら思考する。ひたすら考える。
「良いこと思いついたぞ」
ひらめいたように手をポンと叩き、地下水路に可愛らしい足音をタタタと鳴らして彼女は走る。